【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第26章 接触
夜も深くなる頃。
零が今日は帰れないと連絡があって。
零から帰れない、と連絡があったことに少しだけ嬉しくて。
零の帰る場所になれたことが、嬉しかった。
インターホンがなり、夜の最終便の宅配かと思って扉を開けた私を悔やんだ。
「こんばんは」
その人は、沖矢昴はいつもと変わらない顔で私に挨拶をした。
…私の全てが変わるきっかけ。
その時の私にはそれを知る術はなかった。
「………家にはあげませんよ」
「私はここでも困りませんが……貴方の恋人のことで話があります」
それでもここで良いんですね、とその人は笑う。
そんなのなにもよくなくて。
仕方がないと部屋にあげた。
「単刀直入に聞きますが、貴方は組織の人間ではないですよね」
「………何度確認しても、私は違うと答えますよ」
「それなら…FBIのスパイとして、乗り込みませんか」
この人は、なにを言ってるのだろう。
「代わりに貴方の探している赤井秀一のこと、教えて差し上げますよ」
「冗談なら今すぐ帰ってください。…今日は、貴方と友人として話せる気分ではありません」
「友人ではなく、取引相手としてはいかがですか」
「……馬鹿にするのもいい加減にしてください。沖矢さんのこと、好きですけど…今の沖矢さんは好きではありません」
「貴方は、組織に向いてますよ」
なにを言ってるのだろう、この人は。
「彼の全てを知りたくありませんか?」
「…貴方は、透さんのなにを知ってるって言うんですか」
「貴女に隠してること全て、と言ったら?」
友達ってなんだっけ。
…もう、この人のことがよくわからない。
「“バーボン”のこと、なにも聞かされてないでしょう?貴女は」
「………貴方のこと、今のこの場で…二度と関わりたくないと宣言します」
「数少ない友人なのに?」
「……沖矢さんは、ずるいです」
私には、…
「貴方とは友人でいたかったのに」
帰ってください、と無理やり立ち上がらせて…背中を押して玄関に向かわせる。
「FBIとか、…何を言ってるのかよくわかりません。私が力を貸せるのは…」
零が愛する
「この国のためです」
降谷零のためです。
「……興味があれば、連絡ください。私も正直、協力者が欲しいので」
嘘偽りの友人関係。
私が少しだけでも嬉しかった友人という関係は
彼の中には、存在していなかった。
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