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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第22章 与えられる優しさ※裏


「…僕にも、触られたくありませんか?」
「違…ちが、くて…」

それなら、と腕をつかまれて…キスをされそうになったのを顔をそらして避けた。

「…○○…」
「…ごめ、そうじゃなくて………キス、できない…」
「…………部屋、一度戻りませんか?」
「透さんが遅れちゃう」
「大丈夫です、車ですから」

間に合いますよと笑って抱きしめられた。
透さんに部屋に連れられて、玄関の匂いにすぐ気づかれて。
キスを拒んだ理由を納得されれば、座っていてください、と言って見た目は片づけてはいるけれど匂いが残る玄関を再度掃除し始めて。

「○○、…僕も、あまり余裕がないんです。貴女が傷つくことには」

それは、どっちとしての言葉?

「でも、貴女がこうして隠れて傷つくのは…嫌です」

頼ってください、と言われて。
せっかく整えたお化粧が落ちるほど…私は泣いていた。
零は…どんな気持ちでここに来たんだろう。
透さんとして、私に優しい言葉をかける零に…ごめんなさい、とまた何度も繰り返し謝った。
アルコールを使って匂いを落としてすっきりした玄関に、透さんは満足気に笑ってみせた。

「○○、お化粧…やり直しですね」
「…へ、き…すぐ終わる…」

涙を透さんがハンカチで拭って。

「…本当に、仕事へ行かれるんですか」

もう一度訊いてきた。
言葉を迷いながら頷けば、優しく頭を撫でられて。

「キツくなったらポアロに来ると約束してくれませんか」
「……いいの?」

優しく唇に、触れるだけのキスをされた。

「……やっと、笑ってくれましたね」

透さんの言葉に、口角が上がっていたことには指摘されるまで気づいてなかったけれど…

「でも、お仕事終わったら…」

覚えとけ、と…低い低い声で耳元で囁かれた。
離れる表情は優しい優しい透さんの笑顔で。

…怒ってるのは変わらずだと、気づいて…それでも側にいてくれるからの優しさは染みるほど愛おしかった。



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