【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第2章 架空の“彼氏”
「恋は良いぞー」
「はいはい、先輩飲み過ぎですよ。だいたい先輩は奥さんと早く仲直りしてください」
「毛利先輩の奥さんの事情、伺っても?」
「知らん」
自ら話すつもりはない毛利先輩から私の方へと視線を向ける指先は、手の甲を指の腹でなぞっていて。
くすぐったい、それと同時に少しだけヤラシイ気持ちになる。
「先輩が話さないって言うなら私に視線を向けても無駄ですよー」
なんでもないふりをして。
それから他愛もない話をして、立てないほど酔った毛利先輩を零が車まで運び後部座席に寝かせドアを閉めた。
「じゃあ安室さん、毛利先輩のことお願いします」
「○○さんも送りますよ。それか、よかったらどこか飲み直しませんか?家の近くでしたら車もいりませんし」
「………結構です」
「…ではせめて、送らせてください。そんなに警戒されるなら探偵事務所まででも構いませんから」
安室透として話す彼の聞き慣れない口調。
「彼氏さんと、同棲されてるんですか」
「……それがなにか」
「彼氏さんとも、あのようなキスを?」
「彼氏とした方がもっと気持ちィよ」
手の感覚が離れてない。
あぁ、私今…この人に抱かれる方法を探ってる。
酔うほど飲んでいるつもりはなかったけれど、お酒が入ってるせいか判断が緩い。
お酒のせいにしてしまえば少しは気が楽になるだろうか。
車に背中を押し付けられ、口付けをした。
車内には毛利先輩がいるのに。
重ねるだけの唇に我慢できないのは私の方だった。
首に腕を回して…零の顔を見るのが怖くて、目を瞑る。試すように舌を差し出せば、ごくあっさりと絡まった。
戸惑うように髪を撫でる手。
しばらくお互いの熱を確かめるようにゆっくり交えた舌を、唇を、少しだけ離して息を整える。
「…○○…どういう、つもりですか」
なんて言えば良い。
なんて言えば…
「安室さんが、したそうな顔してたから」
なんて言えば、この人は私を抱いてくれる?
「……ほんと、変わりましたね…貴方」
「先日が初めましてですよ、安室さん」
私の左手をとられ、零の唇が薬指に口付ける。
舌先が指に触れて
「結婚前の女性は浮気率が上がるという統計を以前見たことがあります」
「その記事私も見たことあるかも」
薬指を口の中に含まれて、しつこく…唾液の音をわざと立て、吸われる。
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