【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第2章 架空の“彼氏”
「っ…や…」
「何が嫌なんですか?」
首筋に零の唇が触れる。
「……こんなとこじゃ、やだ」
疼く。
疼く。
毛利先輩に対する冒涜感とアルコールが体をもっと熱くする。
零を求める体が疼く。
「…零…が、いい…零…と」
安室透じゃなくて。
降谷零と、
シタイ。
「毛利先生を送りましょう。…貴方は助手席に乗ってください」
零の唇が指から離れて…また視界に顔が近づく。
重なる唇が離れて、低い声で囁かれた。
「今の言葉、後悔するなよ」
助手席のドアを開かれ、自然とエスコートするように乗せられて。
私は、なんて愚かなんだろう。
探偵事務所の上に先輩のご自宅がある。
零が先輩を支え、私が自宅のチャイムを鳴らせば蘭さんに謝罪を繰り返されて。
「父が本当にごめんなさい、気をつけて帰ってくださいね」
「蘭さんも、あまり先輩のこと怒らないでくださいね」
「○○さんは父に甘すぎるんですよ」
いつも通りに振舞って、蘭さんに見送られ車に戻れば、零は“ 安室透 ”の顔を捨てて噛みつくように口づけてくる。
どうしてだろう。
こんなに零が自分を求めてくれることが嬉しくて、息継ぎのタイミングも、舌を絡み合う熱も、昔を思いだして。
零が好きだと言いたくて。
「 ○○ …どうして、泣いてる…?」
なんでもない、と首を振って。
大好きな人に触れられて、仮にでも、求められて嬉しくないわけがなかった。
「零…に、もっと触れたい…触ってほしい」
泣きながら求める私を見て、何を思ったんだろう。
醜い?
愚か?
なんでもいい、今この瞬間だけでも幸せだと思ってしまう自分が嫌になる。
「…泣きながら、言うな…悪かった」
ごめん、と謝られて。
ああ、やめてしまうと思い零の手に頬を当てて掌にキスをする。
「……どうする?」
どうする、その問いはこの先を進めていいのか否か。
零の瞳に宿る欲に、少しだけ優越感を覚えてしまって。
「やめないで」
私が言える言葉は、それだけ。
余計なことをいうとすべて吐き出してしまいそうで。
好きだって。
今でも変わらず好きだって。
零は静かに微笑んで、額に口づけて運転席で姿勢を整えた。
車が動き出して向かう先は、言わずともわかった。
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