【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第15章 好きという気持ち
「○○、帰りますよ」
陽も落ちて来た頃。部屋に入って来た零が私に向かってそう言った。
ここに来た、ということは事件は解決したのだろう。それについては何も話してくれないけれど。
「毛利先生たちの許可は頂いてます」
「…わかった」
零が私の膝裏に手を通し横抱きに抱き上げて…落ちないように、と肩に手を回した。
「悪いな、安室くん」
「いえ、○○と仲直りする機会いただいてありがとうございます」
「…先輩、私の荷物…」
「安室くんの車に乗ってるから安心しろ」
いつの間に。
知らないところで、進んでいるそれにありがとうございますと感謝の言葉を告げながら気持ちは落ちて行く。
「○○姉ちゃん」
「大丈夫だよ、コナンくん…またね。園子さんも蘭さんも、すみませんでした」
それでは失礼します、と零の車に運ばれて…助手席に降ろされて。
運転席に回って乗り込む零の姿を横目に見て…
外の景色に顔を向けた。
しばらく無言で走行していたとき。
静かな車内に、零の溜息が響いた。
「その首の痕、虫刺され以外に理由を言え」
「知らない」
「…は?」
威圧的な態度に、胃が痛くなる。
「……虫刺され」
「それ以外って言ってるだろ」
いい加減にしろ、と…その声は凄く怖いのに。
「なんでそんなに怒るの…」
「好きだから」
即答で返ってきた言葉に、嘘だ、と呟く。
そんなわけがない。
「…誰かに帰り道つけられてた…怖くて、助けて欲しくて…っ、何度も何度も電話した…!」
その時だけじゃない。…前の日だって、翌日だって。
「好きなら会いたいって思ったらだめ?声が聴きたいって思ったらだめだった…?あの日から全く連絡がつかなくなったことを心配したらダメだった?不安になったら…」
好きって、なんだろう。堪えていたものが、こみ上げる。
「零が、好きだよ…」
行きつくところは、それだけなんだ。
好き、と言葉にすると涙が止まらなくて。泣きじゃくる私に、車が停まって…抱きしめられた。
「一つだけ…このキスマークは、なに」
「…彼氏と仲直りできるおまじないって……」
誰に、とは言わなかった。言ってはいけない気がしたから。
つけられていて逃げたときに泊めてくれたコナンくんの知り合いの人だとだけ。
消毒だとその位置に重ねられる零の唇は、熱かった。
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