第3章 愛人同盟と私
今日は二十四連勤明けの休日である。
本来なら朝から晩まで爆睡するところだが、私にはやらねばならぬことがあった。
…………
さて、場所は安アパートの私の部屋。
テーブルの上には、スイーツの山。あとジュースとお酒。
そして今、私のグラスにはオレンジジュース、他二名のグラスには酒がなみなみと注がれた。
そして『主催者』の私は立ち上がった。
無表情、棒読みで、
「それでは第八回『ザップ・レンフロ愛人同盟』会合の開催を祝しまして――」
『かんぱーい!!』
と、三人のコップがかちあった。
私は死んだ魚の目をしながら、
「さて壮絶な加入に脱落、スパイ、裏切り、テロ、暗殺未遂とにぎやかなことが色々あった『ザップ・レンフロ愛人同盟』もめでたく八回目の会合を迎えましたが――」
そのとき表で誰かが合鍵を使い、家のドアが開けられた。
「うーっす! チサト! おまえ今日、休みだろ? セックスしようぜー!」
ノックすらなく、ドアを蹴り開けてクズが入ってくる。
だがザップは、
「……え……っ!?」
室内に自分の愛人が三人そろっているのを見て、固まった。
「じ、ジャネットにアンナ!? え……ええ!?」
瞬間、奴は修羅場かと勘違いしたのか、クルッと背を向けるとダッシュで逃げていった。
バタンっとドアが閉まる。
『…………』
私たち三人はそれを黙って見送り、そしてまた会合に戻る。
菓子に手を伸ばしながらジャネットが、
「それじゃ、私から報告行くわね。今月の脱退愛人は三人、新規加入は四人。二人は態度保留中」
「相変わらずのクズっぷりですね。態度保留者には、あいつの女にならないよう、コンタクトを取りましょう。次」
次はアンナ。眼鏡をクイッと上げ、
「今のところ、新入りはどれも過激派にはなりそうもないわ。やはり今、一番の問題はシンディかしら」
私は腕組みする。
「やっぱシンディですか」
二人もコクコクうなずき、それぞれ菓子の袋に手を伸ばす。
「……なあ、おまえら、何やってんの?」
そーっと、後ろからザップが声をかけてきた。
外で様子をうかがい、いつの間にか中に入ってきたらしい。
私は燃えないゴミを見るような目でクズを見、
「何って、あなたの愛人動向把握会議ですよ」
「は!?」