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よい子のおでこに口づけを【うらみちお兄さん】

第5章 気になること


うらみちお兄さんの例の発言を聞いて、早く「お疲れ様です」と言いたい気持ちはあった。しかし、実際に目の前に立たれると・・・何故か緊張する。

「お゛っ・・・げほっごほっ」
「中村さん大丈夫?」

いつもなら意識せずにぱっと言えるのに、口にしようとした途端うらみちお兄さんの台詞が蘇って、声が裏返ってしまった。
うらみちお兄さんの問いに頷いて応えながら、呼吸を整える。

「今日もお仕事、お疲れ様でした」
「・・・うん」

噎せてしまった恥ずかしさもあって、目を合わせられなかったものの、いつも通りに伝えることができた。
安堵したら、自嘲気味な笑いが零れた。
それを誤魔化すために下を向きながらレジ打ちを始める。
本当は、この間の発言は私のことか聞いてみたい。でも、そんなことを聞いたら、うらみちお兄さんに迷惑がかかるかもしれない。嫌がるかもしれない。
悶々と悩みながら、レジを進めていると、

「何処、見てるの」
「・・・?!あっ、すみません」

視線を上げると、怪訝な表情のうらみちお兄さんと目が合った。
顔が赤くなっていくのを体感的に感じる。
この間のママンとトゥギャザーでの話を思い出してましたなんて言える訳がない。何かそれらしい理由で誤魔化さないと。

「えっと・・・上腕二頭筋、すごいなって。どうやって鍛えてるのかなって・・・って、変なこと言ってすみません!忘れてください!!」

違う!!違う!!余計変なこと言ってどうするんだっ!?!
ほら、うらみちお兄さんびっくりしちゃってるじゃん!!
おめめくりっくりになって可愛いな!!!

「・・・コンセントレーションカールってトレーニングとか、やってるけど」

困惑した表情でうらみちお兄さんが答えてくれた。戸惑いながらも答えてくれるとか、優しすぎでしょ。

「こ、コンセント・・・?」
「コンセントレーションカール。椅子とかに座って・・・」

内容の説明をしてくれていたが、レジに次のお客さんが来たので、うらみちお兄さんは口を噤んでしまった。

「・・・じゃあ、中村さん、また今度」
「はいっ、ありがとうございましたー!」

今、うらみちお兄さん『また今度』って言ったよね?!明確に会う約束されたのは初めてだ。少しは仲良くなれたって喜んでいいのかな?!調子に乗りすぎかな?!
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