第2章 はじめまして
「個性把握テストぉ!?」
皆より少し遅れてグラウンドに行くと、相澤に一瞬だけ睨まれ、そしてクラスメイトたちの驚いた声に驚かされた。
──個性把握テスト?入試で教師は把握してるんじゃあ…
入学時の提出書類にも、個性を書かされた記憶がある。
あれでは不足だったのだろうか。
それともこのテストは、「クラスメイトの実力を」把握するのが目的なのだろうか。
このテストは、名前からしてもヒーロー科独自のもののはず。
ということは、ヒーロー科だけの授業に応用するということなのだろうか?
先程職員室でちらっと見た時間割表を思い出す。
──ヒーロー基礎学ってのがあった。
──明日分の担当はオールマイトだったから、多分実技のはず。
と、いうことは。
相澤の説明やクラスのどよめきなどそっちのけで終綴は考える。
──自分の実力が、このクラスでどの程度通用するか知っておけってことかな。
──明日の授業含めて。
ヒーロー科であるから、対人戦闘訓練も近いうちにあるはず。
そして自分の個性を遺憾なく発揮するには、クラスメイト全員の個性を知っておく必要があった。
勿論、今のまま──個性を完全に使用できなくとも、上位に食い込む自信はある。
しかし、
──アイサツ、しておきたいもんね。
──だから、今日は様子見かな。
それに、自分が雄英でトップを取り続けていた方が、何かと都合が良い。
まだ理由はある。
ちらり、と金髪ツンツン頭の彼を見る。
入試のとき、1度見かけたのだが、その時の印象が強すぎた。
──「あっ、あいつバクゴウカツキじゃね!?」
──「あのヘドロ事件の!?」
そんな噂をされていたのだ。
バクゴウカツキという名前も、ヘドロ事件も、当時終綴は知らなかった。
家業の手伝いに明け暮れていたために、ニュースを見なかったからだ。
そういえば家業のお得意先がそんな話をしていたような気もするが、あまりよく覚えてはいない。
そして入試を終え、すぐに終綴はその2つの単語について調べた。
のめり込みすぎるなと、家族に言われ途中で断念したが、それでも終綴は、雄英で会えることをずっと楽しみにしていたのだ。
──うん、だから…挨拶、しなくちゃね。
マスクの下でニヤリと笑い、終綴は胸が踊るのを我慢しきれないでいた。