第8章 想いと思い
***
──こういう風に、社会は思ってるのか…?
映画の内容に、終綴は複雑な気持ちになっていた。
ストーリーは恐らく、面白いものだったのだと思う。
切島は隣でいたく感動していたし、席も割と埋まっていたから、人気のある作品なのだろう。
終綴は映画に興味があったわけではないので、よく判らないのだが。
だが、終綴としては、その内容が、自分とは無関係ではなかったため、思うところが多々あったのだった。
──あんなにバンバンやんないけどなー。
──ま、こういうイメージがあるからこそ、あの人は………
つまらないことを思い出してしまった。
無理矢理思考を打ち切って、終綴は切島を見上げた。
自分の恋人とは、まるで違う空気を纏う。
顔つきは年相応だし、髪色は赤で、特徴的な型をしている。
──……………。
この男が、自分に好意を抱いているのは間違いないだろう。
普段より吃っているし、何より顔が赤い。
終綴は俯いた。
獲物を見つけた、獣のようなギラつきを、俯くことによって相手に悟られぬようにしたのだ。
──…2人目。
何かをカウントした終綴は、にやりと笑った。