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水面下の梟【ヒロアカ】

第7章 相澤の復帰



終綴と相澤とは違う時間が生徒たちの間で流れた後、飯田がガタガタッと立ち上がった。

「ちょっと待ってくれ、それはつまり、依田くんと相澤先生は兄妹ということなのか!?」

終綴と相澤は目を見合わせた。
そして、終綴がにっこり笑った。

「ごめん、言うの忘れてたね!
私のお兄ちゃんはこの人だよ!!
むかし親が離婚したから、苗字は違うけど!」

「…そういうことだ。
血が繋がっているだけで、別に一緒に暮らしているとかはないけどな」

素っ気なく返す相澤だったが、そこには確かに、家族としての情が含まれていた。

ザワザワと、唐突な告白に驚く生徒たち。

それを仕切り直すように、相澤はゲフン、と咳払いをした。

「で、まぁそんなことはどうでもいい。
何よりまだ、戦いは終わってねぇ」

一気に教室が静まり返る。

「戦い?」
「まさか」
「まだ敵がーーー!!?」

恐れ慄く生徒たち。

しかし、

「雄英体育祭が迫ってる!」

相澤が続けると、再び騒ぎ出した。



「「「「クソ学校っぽいの来たあああ!!」」」



普段と違い、終綴はピクリと片眉を動かしただけだったのだが。

皆、その盛り上がりで、その変化には全く気づいていなかった。

「待って待って!
敵に侵入されたばっかなのに大丈夫なんですか!?」

「逆に開催することで雄英の危機管理体制が盤石だと示す…って考えらしい。
敵ごときで中止していい催しじゃねえ、何よりウチの体育祭は……最大のチャンス、だからな」

雄英の体育祭には、全国のトップヒーローが見に来る。勿論中継もあるので、テレビで観戦するという者も少なくない。

それはスカウトが目的であり、つまるところ、体育祭で活躍した者だけが将来への道を拓けるのである。
年に一度、計3回だけのチャンス。

ヒーローを志すなら、絶対に外すことのできないイベントなのである──────


そんな説明を聞いて、終綴はげんなりした。


──知ってたけど…

──目立っちゃ、駄目なのに………目立たなくちゃいけないけど………

──かと言って、休むのは変だし。だって私は「ヒーロー志望」だもん。





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