第6章 初対面にて爪を立てろ
──行くんだ。
へぇ、と感心する。
──さすが、プロヒーロー。
13号の個性は、先程の緑谷たちの口調から判断するに、戦闘向きではないようだ。
それも踏まえて考えると、確かに相澤の方が敵を制圧するべきなのだろう。
生徒を守るのも必要だから、どちらも向かうという訳にはいかないのだ。
しかし、かと言って、相澤1人であの数をどうにかできると言えば話は別。
多対一が得意なのは知っている。
でもそれは、短期決戦の話だ。長引くと判っている戦闘に自ら突っ込んでいくのは愚策である。
しかし、そこまで考えておいて尚、終綴は助太刀に動こうとはしない。
冷静に、思考を巡らせていた。
──死なれても困るけど…
──目的が判らない以上、下手に動くのは愚策かな。
──ってことで、見ておこう。
──殺されそうになってたら、助けに行けばいいや。
明確な殺意と悪意を感じ取っているはずなのに、終綴は相澤を眺めているだけだった。