第21章 暗い場所で輝く
その日の事だった。
いつものように、部屋に戻ってすぐメッセージを確認した。
『壊理が接触した』
と、一言だけ送られてきていた。
───え?
体が芯から冷えるような感覚。
浮かび上がる、様々な可能性。
すぐさま電話をかけた。
『…もしもし』
実験中でなければ、彼は必ずといっていいほど、こちらの連絡には応じてくれる。
今回もそうで、コールが鳴ってから2回ほどで電話に出てくれた。
「今見た。接触したって、あの子は?
誰に接触したの、みんなは無事?」
状況は拙いことのはずなのに落ち着いた彼の声が不安を掻き立てて、いてもたってもいられない。
今すぐにでも家に飛んでいきたい気持ちでいっぱいだが、ここを離れるわけにはいかないのだと理性が踏み止まらせる。
だからそれを隠すように、矢継ぎ早に質問を浴びせてしまう。
『焦るな、落ち着け』
だが、そうは言っても彼の声は普段より硬い。
何かがあったことに変わりはないだろう。
「…教えて」
その時何があったのか、すぐ知ることができない。
その場で守ることができない。
歯痒いけれど、この道を選んだのは自分だ。
ああ、と電話の向こうで彼は頷いた。
『壊理が逃げて、雄英症候群の奴らと接触しただけだ
見張りは代えたがお前の心配するような事は────』
「誰?名前は聞けた?事務所は?」
『何故そんなに慌てる』
焦りが出ていたか。
ごめんごめんと自嘲気味に笑った。
「個性因子を攻撃する個性を知らないかってイレイザーヘッドに聞かれたの。あらかた、取引先の誰かが捕まったとかだろうけど…彼にまで辿り着いてる
協力を依頼されたって言ってたから、他のヒーローにも話がいっていてもおかしくない」