第21章 暗い場所で輝く
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「え?個性?」
呼び出され何かと警戒していたのに、お前の個性について原理を教えてくれと言う。
なんだと少し拍子抜けである。
「基本はお兄ちゃんと一緒…抹消させながら相手の個性を使用できるって感じで、個性因子を攻撃するものじゃないよ」
そうかと相澤は頷いた。
「何があったの…?」
眉尻を下げて聞いてみる。
すると、相澤は唸った。
終綴に教えるのは拙いのだろう。
しかし、こちらに質問した手前、無下に扱うこともできないといったところか。
「…とあるプロヒーローから協力の申請が来てな
個性因子を攻撃することについて何か知らないかと聞かれたんだ。詳しくは俺もまだ聞いちゃいないが」
迷いそして濁しつつも、相澤はそう言った。
───あ。
終綴は自分たちの関わっていることだと直感する。
どこかで誰かが"あれ"を使い、警察にでも捕まったといったところか。
「それが誰かの個性なんじゃないかってこと?」
「ああ…そういう事だ
俺の個性のようなものかと聞かれたんだ」
不自然にも、相澤はここで言葉を切った。
続きがありそうだ。
───でも、私がこれ以上聞き出すのはリスクが高い。
───調べてみるか。
「お兄ちゃん、意外とちゃんとヒーローやってるんだね」
失礼なことを言い、その場を誤魔化す。
自分の感情を悟られないようにするのが先決だ。
「失礼な妹だ」
やれやれと溜息をまた、1つ。
「そういえば終綴」
ずっと言いたかったんだと相澤は言う。