第21章 暗い場所で輝く
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「本日はパトロール兼監視
私とバブルガール、ミリオと緑谷の二手に分かれて行う」
なるほどと頷くがしかし、監視とは何か。
緑谷のそんな様子に気づき、バブルガールは補足した。
「ナイトアイ事務所はね、今秘密の捜査中なんだよ
死穢八斎會っていう、小さな指定敵団体なんだけど」
これだ、とナイトアイが懐から1枚のカラー写真を取り出す。
「ここの若頭、治崎という男が妙な動きを見せている」
ペストマスクがトレードマークらしいその青年は、思ったよりも若かった。
周囲の人間で例えるなら、死柄木よりは年上で相澤よりは年下といったところか。
赤みがかった茶髪に、冷たそうな目が特徴的だ。
整った顔立ちだが、着用しているペストマスクがそれを台無しにしていた。鳥の嘴のようなそれは、革製のものだろうか。
通気性も悪そうで、かなりゴツい。
「ヤクザ…でも今のそういう人たちって、大人しいイメージですけど」
オールマイトの隆盛後、活動は収まった。
そんな文を、ネットで何度も目にした。
実際授業でもそう習ったし、そうではないのだろうか。
しかし、バブルガールはううんと首を横に振った。
「過去に大解体されたのは事実なんだけど…
でもこの治崎ってやつは、そんな連中をどういうわけか集めてる。パートナーがいるらしくて、その人も集めてるみたいなんだけど
それに最近治崎はあの敵連合とも接触を図ったの。顛末は不明だけどね」
「敵連合っ…!?」
敵連合の目的は、オールマイトを殺すことではないのか。ヤクザにまで活動を広げるのか。
目的は何か。
「悪事を企んでるという確たる証拠が掴めないゆえに八斎會は黒に近いグレー…
我々が狙うのは奴らの犯行証拠。くれぐれも気取られぬよう」
それとね、とバブルガール。
「証拠掴めないのは、念入りに証拠が消されているからなの。あっちには相当頭の回る人がいるみたい…気を引き締めて行こうね」
プロの捜査が難航しているというのだから、相当なのだろう。
頭が回るのだから、こちらも気づかれやすいということだ。
敵連合に繋がるかもしれない大案件。
自然と背筋が伸びた。
「イエッサー!」