第20章 水面下での謁見と
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「入りたい事務所はあるのか」
「…へ?」
職場体験最終日。
否、ヒーロー殺しと遭遇してからはろくに活動らしいものもできなかったが、それでも、エンデヴァーは確かにそう言った。
相変わらずの威圧感だが、尋問ではなく質問のように思えて、終綴は首を傾げた。
「入りたい事務所って…卒業後のことですか?」
「そうだ」
それ以外に何がある、と鼻を鳴らす。
「特にないですけど」
なぜ。
No.2ヒーローともあろう者が、なぜ自分を気にするのだろうか。
エンデヴァーがNo.1に固執しているのは知っているがしかし、自分は体育祭で優勝したわけではない。
自分に執着する理由はないはずだ。
「お前がこの事務所に来たのは、ただNo.2という肩書きがあるからだろう」
「…………」
否定はしないが。
だから何だと言うのだろう。
自分がこの事務所を選んだ理由など、この男に関係あるとは思えないけれど。
「…いや、話す気がないならいい」
すまなかったなと、らしくもなくエンデヴァーは軽く謝罪した。