第20章 水面下での謁見と
「俺はオールマイトの喪失よりも オールフォーワンの消失が大きい」
青年────オーバーホールの説明に、死柄木の目の色が変わる。
「裏社会の全てを支配していたという闇の帝王…俺の世代じゃ都市伝説扱いだった。
だが老人たちは確信をもって畏れてた。死亡説がうわさされても尚な
それが今回実体をし…監獄へとブチ込まれた
つまり今は、日向も日陰も支配者がいない
じゃあ次は誰が支配者になるか」
オーバーホールは凄む。
「…ウチの先生が誰か知ってて言ってんならそりゃ… 挑発でもしてんのか?
次は 俺だ
今も勢力をかき集めてる すぐに拡大していく そしてその力で必ず ヒーロー社会をドタマからブッ潰す」
死柄木の瞳は憎しみに燃えていたが、オーバーホールの言葉は彼に冷水を浴びせた。
「計画はあるのか?」
「は?………計画?」
客人の問いに、死柄木はおうむ返しする。
本当にこの男は自分たちの仲間になりにきたのか、疑わしいと思い始めてきたようだ。
オーバーホールは否定も肯定もせず、自分の言葉を紡いでいく。
「計画のない目標は妄想と言う
妄想をプレゼンされてもこっちが困る。勢力を増やしてどうする? そもそもどう操っていく? どういう組織図を目指している?
ヒーロー殺しステインをはじめ、快楽殺人のマスキュラー、脱獄死刑囚ムーンフィッシュ…どれも駒として一級品だがすぐに落としてるな? 使い方がわからなかったか? イカれた人間十余人もまともに操れるないのに勢力拡大? コントロール出来ない力を集めて何になる
目標を磔刑するには計画がいる
そして俺のには計画がある
今日は別に仲間に入れてほしくて来たんじゃない 」
ようやく告げられたオーバーホールの意思表示に、死柄木はトゥワイスに文句をつけている。
しかし、それも気にせずオーバーホールは続ける。
街頭演説のように。