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水面下の梟【ヒロアカ】

第19章 フクロウは舞い降りる



終綴の声を合図に、その場の全員が動き出す。
しかし、終綴が誰よりはやく先制した。

横から迫る男の足の甲を踏み抜く。
呻いて前屈みになった男の鼻っ柱に、回転軌道を描いた肘鉄を叩き込む。
男の背中に踏み台にし跳躍、着地する際に男達こめかみに爪先を叩き込んだ。
5人ほど のした後、トンと軽く地面に両足をついた。

「個性使うより、私は素手の方が慣れてるんだけどさ…ほんとはどっちも強いんだ
でも、君たちのことは殺せない。難しいね」

だからどうした、という話なのだけれども。
終綴はペラペラと話し始める。

「知るかよお前らの立場なんて…!」

倒れている男が終綴を睨みつける。
一時休戦。

「俺達が、なぜ徒党を組んでいるのか分かるか」

目の前の女は強い。
それに気付き、冷や汗をかいた男が訊ねる。

「……さあ?知らないね」

終綴も呼吸を整え、首を傾げる。
フードを深く被りペストマスクを着けているため、奇妙な行動にしか見えないのだが。

「この超人社会だと、無個性は無価値に等しい…人権もない
強い個性の者はそれを振りかざし、弱い者から淘汰される……
だから俺たちはグループを組み、違法でも何でも手を出してきた
これが今、お前らのおかげで俺達の社会的立場が変わるかもって話だ…飛びつかないわけがない」
「…………………」
「お前が素手で強いのはわかった…でも俺は、これ以上仲間を傷つけたくねぇんだ…
金なら払うから、もう止めてくれないか」

なぁ、と男は終綴に歩み寄る。
あと数歩で互いの手が届く距離になった瞬間。

終綴はハハ、と愉快そうに肩を揺らした。


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