第19章 フクロウは舞い降りる
「職場体験とどういう違いがあるのか、直に経験している人間から話してもらおうと思ってな
知っている人もいるだろう、現雄英生の中でもトップに君臨する3年生3名─────…通称・ビッグ3の皆だ」
途端、教室は騒がしくなる。
見た目だけで強さを判断することはできず、しかしながら彼らに期待と憧憬を抱く。
「じゃ、手短に自己紹介よろしいか?
まず天喰から」
猫背で黒髪の男子生徒が、何故か1歩後ろに下がった。
そして、強い眼光で後輩達を睨みつける。
どうやら彼が「天喰」なる生徒らしいが、どんな紹介をするのだろうか。
彼を知る相澤は僅かに興味を持ったが、生徒達はその迫力に気圧されるのみ。
しかし数秒後、天喰は急にカタカタ震えだした。
「駄目だ、ミリオ…波動さん……」
え、と呼ばれた2人は隣の同級生を見る。
「ジャガイモだと思って臨んでも…頭部以外が人間のままで依然人間にしか見えない…
どうしたらいい、言葉が………出てこない…」
想像と違う。
彼の異変に気付いたのか、飯田は怪訝な顔をし、しかし驚いている。
「頭が真っ白だ、辛い……っ!
帰りたい……………!」
音もなく、天喰は後ろを向いた。
そのまま黒板に額をつけ、ゴチンといった。
痛くはないのだろうか。
慣れているのか。
───えぇ………!?
全員が戸惑いを隠さない。
すると、ニコッと淡い水色の少女が笑った。
「あ、聞いて天喰くん!
そういうの、ノミの心臓って言うんだって!ね!人間なのにね!
不思議!」
純真無垢にして天真爛漫。
彼女の様子には、そんな言葉が良く似合う。
実際何人かの生徒は、彼女に癒されていた。
天喰の時とは打って変わって、ほわっとした空気が流れる。
「彼は天喰環。
私は波動ねじれ、今日はインターンについて皆にお話して欲しいと頼まれて来ました」