第18章 その瞳は何を映す
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ブザーが鳴った。
試験は無事終了したらしい。
肩の荷が下りた気がして、ほっと息を吐く。
実際には何も背負っていないのだが。
「あー、緊張するねぇ…」
「いや、依田は大丈夫だろぉ…」
「こういう時間いちばんヤダ」
「人事を尽くしたならきっと大丈夫ですわ」
そんなこんなで互いを励ますこと、約1時間。
結果が出たらしい。
先と同じく、モニターの前で目良が説明を始めた。
ブブ、と懐に入れてあったスマホが鳴った。
こっそりと開くと、メッセージが来ている。
『おつかれ』
「……………」
───アドレス、登録しなきゃ。
無言で何も返さぬままそれを閉じ、発表された合格者の中から自分の名前を探し出した。
『……八百万百
遊佐解斗
依田終綴』
───あった。
よし、と小さくガッツポーズをすると、周りからも同じような歓喜の声が巻き起こった。
大多数は合格したらしい。
しかしその中で、轟と爆豪だけ無表情だ。
緑谷と上鳴は、それぞれにどう声をかけようか迷っているのが見て取れる。
彼ら2人の名前はない。
しかし、不合格者にも救済措置のようなものはあるようだ。
特別講習を受講の後、個別テストで結果を出せば仮免許は発行するらしい。
思わぬチャンスに、落ちた者たちの顔が晴れた。
「すぐ…追いつく」
轟の言葉に、うん、と終綴は頷いた。