第18章 その瞳は何を映す
『ここでは一般市民としてではなく、仮免許を取得した者として…
どれだけ適切な救助を行えるか試させて頂きます』
神野区を模しているのかな、なんて緑谷の声が聞こえる。
相澤から聞いていたが、本当に爆豪救出に赴いたらしい。
たしかに、テレビで見た状況と酷似しているように思える。
───私が行こうとして、止められたところ。
何故あの時、引き止められたのかはわからない。
彼は頑なに話そうとしないし、かといって終綴を心配しての行動とは思えない。
ビリリリリリ
『敵による大規模破壊が発生!
規模は○○市全域、建物倒壊により傷病者多数!
道路の損壊が激しく救急先着隊の到着に著しい遅れ!
到着するまでの救助活動は現場にいるヒーローが指揮を執り行う
1人でも多くの命を救い出すこと!』
一次試験と同様、合図と共に全員が駆け出した。
終綴は今まで、弱点のない個性とされていた。
しかし、苦手分野は存在する。
終綴の個性は戦闘向き。
救助には向いていない。
かといって、逃げ出すわけにもいかないのだが。
───合格してみせる。絶対に。
終綴は蛙吹・轟と共に、水辺へ向かった。
半分は救助したかと思えるそんな頃、大規模な爆発が起きた。
───救護所のすぐ近くだ!
『敵が姿を現し追撃を開始!
現場のヒーロー候補生は敵を制圧しつつ救助を続行してください』
爆煙から出てきたのはギャングオルカ。
何人か、サイドキックだろうか、を引き連れている。
ギャングオルカは番付の順位が高く、かなりの実力者だ。
「っ…ごめん、私制圧に行ってくる!!!
ここは任せたよ!」
返事を待たずに終綴は走った。
自分の個性では、救助よりも戦闘の方が力になれる。
────プロヒーロー…
全力で地面を蹴った。
一瞬で距離を詰める。
「……!?早っ!!?」