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水面下の梟【ヒロアカ】

第17章 森の忍者は夜に狩る


***
暗い場所。

昼間のはずなのに、そこはやけに暗かった。
建物に囲まれたそこは、人目につかない場所だ。
辛うじて、互いの顔を確認できる程度ではあるのだが。

表舞台には出てこない者が、そこにはいた。
影は2人分。

小さい影と大きい影​───とはいっても頭一つ分も変わらないが​───は、向き合っていた。

小さい方は、奇妙なシルエットをしていた。
鳥の嘴のようなものを、口元に着けている。
他の部位は明らかに人間であるはずなのに、その部分だけが浮いている。

ガサリ

奇妙な影は、懐から何か取り出した。

「これが….例の…………」

低い声は、それを受け取りながら問う。

「試作品だけど、効果は充分にある。良かったら試してみてよ」

美しい女性の声だった。
爽やかで涼しい声はそこに似合わず、不釣り合いだ。
ありがとよ、と下卑た笑みを浮かべる男。
そして、それを受け取ってから、しかしなぁとまた笑った。

「本当に"フクロウ"がいるなんて​────噂だけかと思ってたぜ。姿を見るのは初めてだ」
「……………」

女は沈黙する。

「いつもフード被ってるらしいが…顔を隠す理由でもあるのか?」
「……………」

女は答えない。
なあ、と男は女に近づいた。
男が手を女の上着にかけ、そのままフードを脱がそうとする。

しかし、




ゾワリ




急に悪寒がして、男は動きを止めた。

「…触るな」

静かなのに、威圧感がそこにはあった。

「っ…」
「聞こえなかった?
その手を離せ」

女はその手を振り払う。
そして、フードの奥から鋭い眼光で相手を睨みつけた。

「殺されたいなら、相手するけど」

はは、と男は笑う。

「……何がおかしい」
「殺されたい訳ねぇだろ。
この場合、殺されんのは……そっちだよ!!」

「っ!!
まさか、」

女が振り向いた瞬間。




ガキン




不穏な金属音が、路地裏に響き渡った。


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