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水面下の梟【ヒロアカ】

第17章 森の忍者は夜に狩る


***
「昨日話した通り、まずは仮免取得が当面の目標だ。
ヒーロー免許ってのは人命に直接関わる責任重大な資格だ
当然取得の為の試験はとても厳しい
仮免の合格率は例年5割を切る」

静かな教室に、低音が響き渡った。

「仮免でそんなキツイのかよ…」

想像以上の過酷さに、生徒たちは息を呑む。
その中で、自信に満ちている者は1人もいない。

「そこで今日から君らには1人最低でも2つ…必殺技を作ってもらう!!」

だが、相澤はそれについて何も言わない。
本来なら、仮免は2年生以降で取得するものだ。
彼ら1年生が簡単に取れるものだとは思っていないし、自信を失くすのも当然と言えるからだ。

「「「学校ぽくてそれでいてヒーローっぽいのきたァ!!!!」」」

雄叫びを上げる生徒たち。
そして、そのタイミングを待っていたのか、相澤はどうぞと教室の扉を開けた。
入ってきたのは3人のプロヒーロー。

「必殺!
コレ スナワチ 必勝ノ型・技ノ コトナリ!」

影のように黒く光を吸い込むような肌に白いトレンチコート。
目も白く、美しい並びの白い歯が印象的だ。
エクトプラズム。

「その身に染みつかせた技・型は他の追随を許さない
戦闘とは、いかに自分の得意を押し付けるか!」

全体的に、見た者に与えるイメージは"四角"。
目は細いが、温和そうな外見をしている。
セメントス。

「技は己を象徴する!
今日日必殺技を持たないプロヒーローなど絶滅危惧種よ!」

極薄タイツで強調される、見惚れるような抜群のスタイル。
逆三角の形をした眼鏡や、僅かに外ハネした髪が個性的だ。
ミッドナイト。




場所を変えて、体育館ガンマ。

「ここは俺考案の施設
生徒一人一人に合わせた地形や物を用意できる…台所ってのはそういう意味だよ」

相変わらず穏やかな表情のセメントスは、地形を弄りながら説明した。
エクトプラズムは分身を生徒の人数分出し、我ト戦エ、と補足する。

「なーる」

上鳴が納得する一方で、じゃあ、と切島は質問した。

「依田、仮免の日まで来ないんだろ?
あいつはどうするんすか」

その目は相澤に向けられている。
芦戸はニヤニヤとその様子を見守り、八百万はまぁ、と口元に手を添えている。

​───………。

「知らん。
ただ、話した時には何とかすると言っていた。
それが全てだろう」


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