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水面下の梟【ヒロアカ】

第17章 森の忍者は夜に狩る


***
「とりあえず1年A組…無事にまた集まれて何よりだ。今はいないが、終綴も入寮予定だ」

生徒の顔を見る。
顔色は正常で、皆体調も戻っている。
家庭訪問の際に確認もしていたが、やはり心配であることに変わりはない。

終綴にも今日は来いと言ったのだが、あの日電話して以降、1度も連絡は繋がっていない。
忙しいのだろう。

親族との都合があるのなら、仕方がない。
終綴には、新しく出来た家族を大切にして欲しかった。
本当なら挨拶に行きたいところではあるが、もう自分は戸籍上家族ではない。
血の繋がりはあっても、春に再会するまで何年も会っていなかったのだ。
過保護すぎるのもどうかと思い、担任としてしか彼女の家庭には干渉しないことに決めていた。

「そっかー、依田いないのかぁ」
「今日も遅刻かと思ったー」
「ま、でも全員許可降りたって事よな」

これって結構凄いことだ、と誰かが言った。
B組も全員入寮許可が出ているらしい。それが説得した校長とブラドキングの賜物なのか、それともまだ信頼してくれているのかは分からないが、頭の下がる思いだ。

「無事集まれたのは先生もよ。会見を見た時はいなくなってしまうのかと思って悲しかったの」
「うん」

蛙吹の眉は下がっている。
彼女は自分のことだけでなく、周囲も冷静に俯瞰できる性格だ。
相澤の背負っているリスクも、考慮していたらしい。
それは将来役に立つと相澤は思っているが、しかしまだ若い。

「………俺もびっくりさ。まァ…色々あんだろうよ」

​───全体的に…下手に動かすより、泳がせて尻尾掴むって感じだろうな

根津が全寮制を提言したのは、生徒に内通者がいないのかどうか見極めるためでもあるのだろう。

​───いないでくれ、とは思ってる。

捜査が進む度、怖いのだ。
早く敵連合をという思いは勿論ある。

この卵たちを無事に育てあげなければならないのだ。
しかし、内通者がいなければ、合宿への襲撃は成功しなかったはずだ。



もし、もし生徒の中に内通者がいたら、なんて​────





考えたくもない。



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