第16章 削がれた爪
しかし、何言ってんだよとツギハギはそれを鼻で笑った。
「お前はあいつとはあれが初対面って言ってたろ」
「でもお友だちになったんです!」
「いや殺せよ」
どうやらこの女子高生は、ボケ担当らしい。
本人にそのつもりはないのだろうけれど。
ツギハギにも死柄木にもツッコまれている。
意外と愉快な集団らしい。
ツッコミをして調子を取り戻したのか、死柄木は「まぁお前が依田終綴を好きかなんてどうでもいいんだ」と言った。
───「お前は」初対面、か。
このツギハギ男が、終綴との繋がりを持っているのは確実と見て良いのだろうか。
いや、しかし、それならば矛盾してしまう点もある。
もし本当に終綴がツギハギ男と知り合いなら、それを隠すはずなのだ。
終綴ほどの頭なら、撹乱するために対敵して交戦、くらいはしていてもおかしくない。
また、ツギハギ男は恐らく最近敵連合に加入した者。
これほどの戦力ならばUSJの際にも来ていなければ違和感がある。
しかし見かけなかった、つまりはそういう事だろう。
それならば、終綴は内通者ではない。
───依田はツラとセリフが合ってねぇ。
内通者でなかったとしても、ヒーロー側には隠さなければならない事情を持つだろう、というのは爆豪の勘が告げていた。