第15章 夜明けの前兆
ズドォン
そんな音と共に、空からクラスメイトたちが降ってきた。
緑谷、轟、障子。
そしてその3人の下には、やはり敵らしき人物がいる。
その男を追ってきたのだろう。
終綴と荼毘との間にある爆発でもしそうな空気は、一瞬にして霧散した。
追ってきた彼らを見て、荼毘は薄く笑みを浮かべる。
トゥワイスは
「知ってるぜこのガキ共!!誰だ!?」
と例のごとく騒ぐ。
トガはなぜか嬉しそうに、表情を晴らした。
「…話は後だ。邪魔するなよ」
荼毘は低く終綴だけにそう言った。
終綴もそれに納得したのか、小さく頷いて、道をあける。
脳無は緑谷たちから終綴を隠すようにして立ち位置を変えた。
終綴も、それを当然のようにして受け止めている。
「Mr.、避けろ」
合図と共に、荼毘は炎を放った。
終綴はどうやら個性使用を見送ったらしい。
避けきれなかった緑谷は苦痛に顔を歪める。
「バッカ冷たっ!!」
炎であるはずなのに、そんなことを言ってトゥワイスは大袈裟に避けた。
避けきれなかった2人と違い、轟は完璧に攻撃から逃れている。
「死柄木の殺せリストにあった顔だ!
そこの地味ボロ君とおまえ!なかったけどな!」
腕に装着されたバンドのようなものからメジャーをシャッと取り出すトゥワイス。
「トガです出久くん!
さっき思ったんですけど、もっと血出てた方がもっとカッコイイよ出久くん!!」
頬を乙女のように赤らめ緑谷に襲いかかるトガ。
先程トゥワイスに言っていた「気になる男の子」というのは、もしかして緑谷の事なのだろうか。
───なるほど、2人とも悪くない動きだ。
───荼毘が勧誘したのか、死柄木繋がりかは知らないけど…
ふむ、と終綴は脳無の影で冷静に分析している。
怪我をしている緑谷を助けようと、障子が2人のあいだに飛び込んだ。
轟は迎撃せんと凍らせようとしている。
そんな中、パッと突然仮面男が現れた。
先程緑谷たちの下敷きになっていた男だ。
「飛んで追ってくるとは!
発想がトんでる」
───マジシャンみたいだな…何の個性だ?
思考を巡らせる終綴に、マジシャンは はてな を浮かべた。