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水面下の梟【ヒロアカ】

第15章 夜明けの前兆



「それじゃあダメなんだ。
仕事っていったら、おまえは基本1人にはならないだろう…
それに、死柄木にはおまえを殺せと言われてるんだ。
ま、俺としてはそれは不可能だと思うが…
それに、俺個人としてはおまえが欲しい」

ぺらぺらと話し始める荼毘。
それを、終綴は鼻で笑って一蹴した。
質問したこっちが馬鹿だった、と加える。

「"今"の私を知っているのなら、それが無理だということも分かるよね?」

残念そうに、荼毘は頷く。



「その通りだ。
…………でも恐ろしいな、おまえは夜行性、だろ?今が丁度活動時間だ」



「…"夜行性"は、時間じゃない」



「そういえばそうか」

「それに」

「それに?」









「荼毘…あんたのせいで、夜が明けそうだ」








それもそうだな、と荼毘は笑い。

終綴は笑わない。
そして、2人が睨み合い、終綴側の殺気が膨れ上がる。

荼毘は笑みを浮かべている。

「なあ、俺はあんたのファンだ…戦うつもりはないさ」
「なら、私のために死んで」

女子高生らしからぬ低く尖った声。
いつの間にか、トゥワイスとトガはぴたりと談笑を止めていた。
2人は、終綴たちの様子を窺っている。
トガもトゥワイスも、終綴の正体は知らないようだ。

「えっ、終綴ちゃん何者ですか?」「あいつチョロそうだな!」

なんて声が聞こえる。
ヒソヒソと話しているつもりだろうが、鋭い終綴の聴覚はそれを拾っていた。

しかし、それにわざわざ反応するような真似はしない。





終綴は軽く息を吐いた。






予備動作なしで、荼毘のこめかみを手刀が掠る。


荼毘は、躱しざまに掌から炎を繰り出そうと終綴に向けた。


しかし、炎は出てこない。


終綴の掌が開いているのを見て、荼毘は嬉しそうに笑った。


それが気に食わなかったのか、終綴は荼毘と同じように掌を彼に向け​───────




再び2人が激突するかと思えたその時



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