第15章 夜明けの前兆
───で、私も筋トレか…。
朝もやったのになあ、と拗ねる終綴。
相澤曰く、「個性も使いこなせているのに体育祭で優勝できなかったのは、軽率な行動があったからだ、油断しすぎだ。常に考えながら戦え」。
シュミレーションしながら鍛えろとの事だった。
個性は伸ばさなくていいのかとも思ったが、恐らく自分は増強型の個性持ちだと思われているのだろう。
学校側に提出した書類にもそう書いたし、パワー系の個性は体育祭以外でもよく使っている。
そっちを伸ばせということなのだろう。
「レンタル」の方は保留にされたのか、それとも使うと他の生徒が何も出来なくなるからなのか。
圧倒的に後者のほうが理由として適切だが、前者でも有り得ないことは無いと終綴は思っていた。
問題ではあるのだが。
───ま、別に良いんだけどね、ここを卒業さえできれば。
「伸ばせ千切れヘボ個性を!!」
「イエッサー!!!」
目の前で騒ぐ緑谷たちを見て、終綴は僅かに目を細めた。
───この合宿で、緑谷の個性についても調べられたら…
知りたい。欲しい。
欲望が、終綴の中を渦巻いていた。