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水面下の梟【ヒロアカ】

第15章 夜明けの前兆


***
ガサリ

隣で眠る芦戸の寝返りによる布擦れの音で、終綴は目を覚ました。
やはり、他人と同じ部屋にいると、熟睡できない。

「…………」

昨夜は、B組の女子たちとも集まって恋バナ(?)をした。
誰がかっこいいだとか、誰が誰を好きだとか、そんな話を延々と。
結局、女子の総意として誰がNo.1イケメンになったのかは忘れてしまったけれど、なかなかに楽しかった。

夜遅くまで話していたせいか、布団を敷くとみな直ぐに寝てしまった。
しかし、終綴はそうはいかなくて。
何か物音が僅かにでもするたび、目を覚ましてしまう。

​───たしか、今日の起床時刻は5時半だったはず。

スマホで時間を確認する。
まだ、それまで1時間以上もある。

「…起きるか」

筋トレでもしてよう、どうせ寝れないし。
いつもより格段に軽い体を動かしながら、終綴は皆が起きるのを待っていた。






































「お早う諸君」

まだ寝惚けていそうな生徒たちの顔を見て、相澤は内心溜息を吐く。

どうせ、みな遅くまで起きていたのだろう。
過ぎたことだし、今は何も言うまい。

しかし、1人だけ妙にシャッキリしている生徒が目立っている。

​───朝は弱いんじゃなかったのか?

朝遅刻常習犯の妹に首を傾げる。
枕が変わると寝られないタイプなのだろうか?
性格的に考えて、みなと騒がずに夜早く寝るというのは想像しづらいが。
不思議だ、と思いつつ合宿についての本格的な説明を始める。

「今合宿の目的は全員の個性強化及びそれによる仮免の取得。具体的になりつつある敵意に立ち向かう為の準備だ」

USJでの戦いを、もしくは木椰区での遭遇を思い出しているのだろう。
それぞれの表情が変わった。

​───相変わらず、終綴の表情は読めないが。

「じゃ、これ投げてみろ爆豪」

爆豪の投げたボールの飛距離は入学当初とほぼ変わらないことを確かめさせる。

「君らが成長したのはあくまで精神面や技術面。個性そのものはそこまで成長していない、だから​───────
今日から君らの個性を伸ばす。
死ぬ程キツイがくれぐれも…死なないように」


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