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夢繰り屋 凛 第五章

第6章 お母さん。


そうや…彼は何て言ってたっけ。

今のお母さんとの接し方が分からない…。
それって、母親と接した事がないから
分からない…って事なんやろか…。

私は母親にはなれないし、母親の気持ちも
分からない。

ただの高校生だし。

でも、私がお母さんに貰った愛情を少しでも
彼に分けてあげる事くらい、出来るはず。

…うん。やってみよう。

高校生の翔太君には無理やけど、
目の前に居るのは、まだ幼い赤ちゃんのような彼。

『母親の愛』は与えてあげれないけど、
『母親のような愛』を渡してあげよう…。

そう決心した私は、幼い彼の目の前にしゃがみ、

「翔太。次は、何をしたい?何をして欲しい?
 ママと一緒に、何処に行こうか?」

精一杯の笑顔で、彼を抱き上げた。


夢の中で時が過ぎ、夕暮れを背に、
すっかり遊び疲れた彼は、眠そうに目を擦っていた。

「ん?翔太、眠い?じゃあ、ママが
 おんぶしてあげる。」

「うん。」

目を擦りながらも、嬉しそうに私の背中に
しがみ付いた。

一日、彼のママだった私は、
ウトウトと背中で夢心地の彼が
何だかとっても愛おしかった。

これが、母性本能ってやつなんやろうか。

私の背中に落ちないようにと
しっかりしがみ付く彼が…

「ママ大好き。ありがとう。」

って言った気がした。
まだ、そんなにハッキリしゃべれなかったはず…。

そう思ってたら…意識が…
薄れていった。


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