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夢繰り屋 凛 第五章

第8章 夢の後の後。


なんだか不機嫌?な浩二君の存在に
気付いたのは、しばらく経ってからだった。

一緒に帰ろうと、翔太君は
荷物を取りに教室へ走って行った…。

「…何があったんか知らんけど、すっかり仲良しやん。
 アイツ、凛の事、気に入ったみたいやし。」

はあぁ??

「何で?んな訳ないやん。気に入るとか、何で
 そんな話になるん。仲良く見えたのは、
 お互いに、いい時間を過ごせたから…やと。」

…ん?
何で、こんなに気ぃつこてしゃべらなあかん??

「そう!お母さんからもらった、『母の愛』を
 分けてあげたって感じやで…。」

我ながら上手くまとめてみた…つもりだった。

「…ふ~ん。『母の愛』ねぇ~。」

…何?その言い方。
えっ?間違ってないよ…ね…。

「うん。…母の愛…やん?」

そう言う私に、

「じゃあ、やっぱり気に入られたな。」

…だから、何でそうなるんよ!!
納得いかないって私に、

「アホやな、凛。男は皆、マザコンやで。」

…って、笑って言った。

はあ??…あほらしぃ。

帰り支度を済ませ、翔太君を待つ私に、

「凛、お前…先帰れや。
 ちょっと、俺アイツと話あるから。」

…え。黙って帰って、なんか
ヤな感じじゃないやろか。

だけど、いつもと違って、なんとなく
不機嫌な浩二君との空気に
耐えれなかった私は…。

翔太君を待たずに、一人で帰った。

(あっ。ケーキ買って帰らなきゃ。
           お母さん喜ぶかなぁ。)

その日の夜は、ケーキのサプライズに
突然の肩たたき…。

お母さんは、気持ち悪がったり、
何も買わへんで…やって…(泣)

お母さんって、当たり前のように居てくれる存在やと
思ってたけど、そうじゃない人もいる事に
改めて気付かされたよ。

いつもいつもは言わないけど、
たまにはちゃんと伝えよう。
…ほんまにいつもありがとう。

浩二君の言葉を思い出し、
男だけじゃなく、皆、マザコンなんだと
思わず笑ってしまった。


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