第8章 夢の後の後。
なんだか不機嫌?な浩二君の存在に
気付いたのは、しばらく経ってからだった。
一緒に帰ろうと、翔太君は
荷物を取りに教室へ走って行った…。
「…何があったんか知らんけど、すっかり仲良しやん。
アイツ、凛の事、気に入ったみたいやし。」
はあぁ??
「何で?んな訳ないやん。気に入るとか、何で
そんな話になるん。仲良く見えたのは、
お互いに、いい時間を過ごせたから…やと。」
…ん?
何で、こんなに気ぃつこてしゃべらなあかん??
「そう!お母さんからもらった、『母の愛』を
分けてあげたって感じやで…。」
我ながら上手くまとめてみた…つもりだった。
「…ふ~ん。『母の愛』ねぇ~。」
…何?その言い方。
えっ?間違ってないよ…ね…。
「うん。…母の愛…やん?」
そう言う私に、
「じゃあ、やっぱり気に入られたな。」
…だから、何でそうなるんよ!!
納得いかないって私に、
「アホやな、凛。男は皆、マザコンやで。」
…って、笑って言った。
はあ??…あほらしぃ。
帰り支度を済ませ、翔太君を待つ私に、
「凛、お前…先帰れや。
ちょっと、俺アイツと話あるから。」
…え。黙って帰って、なんか
ヤな感じじゃないやろか。
だけど、いつもと違って、なんとなく
不機嫌な浩二君との空気に
耐えれなかった私は…。
翔太君を待たずに、一人で帰った。
(あっ。ケーキ買って帰らなきゃ。
お母さん喜ぶかなぁ。)
その日の夜は、ケーキのサプライズに
突然の肩たたき…。
お母さんは、気持ち悪がったり、
何も買わへんで…やって…(泣)
お母さんって、当たり前のように居てくれる存在やと
思ってたけど、そうじゃない人もいる事に
改めて気付かされたよ。
いつもいつもは言わないけど、
たまにはちゃんと伝えよう。
…ほんまにいつもありがとう。
浩二君の言葉を思い出し、
男だけじゃなく、皆、マザコンなんだと
思わず笑ってしまった。