第6章 お母さん。
…ビックリした。
…これは、一体…。
「ママ。ママ~。」
突然、彼が腕の中で暴れだした。
「えっ?何?どうしたの?」
落ちそうになる彼をしっかり抱き直した。
「ママ~。ママ~。」
彼の視線の先には…公園があった。
「ん?公園に行きたいの?」
下に降ろした彼は、一目散に公園へと駆け出した。
今にもコケそうでハラハラした。
満面の笑顔で遊ぶ姿。
途中、何回もこけては泣き、起こしてあげてはこけ…。
滑り台は階段が危ないし、結局一緒に滑り、
砂場では、口に砂を運ぶのを阻止し、
ブランコでは、支えながら乗せてあげ…。
一通り遊び終えた時には…私はヘトヘトだった…。
なんで小さい子って、あんなにタフやの…。
嬉しそうに私をママと呼び、
遊んでいる彼を見ていて、
私は自分の母親に感謝した。
きっと、私もこんな風に遊んでもらったんやろう。
…色々とお母さんとの事を思い出していた。
そして、母親との思い出を
一つも持っていない彼を見て…胸が締め付けられた。