第5章 本音?
いつものように、彼に寝ころぶように
説明していた時、
「せや、翔太。手、洗って来い。」
…??
浩二君が翔太君を小突いた。
「何で?俺、手、綺麗やで?
トイレ行ってもちゃんと洗ってるで~。失礼な~。」
「ええから…あろて来い。」
…なんか…突然ご機嫌斜め…?
面倒臭そうに、翔太君は手を洗いに
部室を出て行った。
「浩二君?どしたん?」
不思議に話しかけた私の…手を…
浩二君は、ぎゅうっと握りしめた。
「なんかヤバい事になりそうな夢やったら、
すぐ帰って来いな…。」
!!…手。ぎゅうって!!
何?何?めっちゃ心配してくれてんちゃうん!!
「あと…、変な夢やったりしても…
すぐ帰って来い。」
??
「う…うん。」
「ほんまに分かってんのか!?」
…??何が引っかかってるんやろ。
あ~もう、と言わんばかりに、浩二君は
頭をガシガシと掻いていた。
「男の深層心理なんか、ろくな事考えてないに
決まってるやろ…。」
小さくつぶやいた。
程無く帰って来た翔太君と私は
お互い少し照れながら手を繋ぎ、
いつもの様に、意識を夢に落としていった。
……。
「…手、繋がなあかんって…。
だから、男の依頼は嫌なんが分からんかなぁ…」
薄れゆく意識の中で、今日は優しくない
浩二君の声が聞こえた気がした。