第4章 家庭の事情。
放課後、いつもの部室に…
彼、翔太君の姿があった…。
「やっ。凛ちゃん。」
いたずらっ子の様な笑顔と共に、
彼は軽く手を挙げた。
「凛。こいつな、俺の友達なんやけど…
…あ~、やっぱなぁ~。」
珍しく浩二君が口ごもっている。
「…どしたん?なんか言いにくい事でもあるん?」
普段見た事のないような浩二君の姿…
そっちの方に興味が湧いていた。
「俺の夢を見て来て欲しいなぁって話なんやけどさぁ、
な~んか知らんけど、浩二が渋りよんねん。」
そう言いながら、浩二君の肩に手を置いた。
…仲良しなんや…いいなぁ。
「…気になる夢でも見たの?」
私の問いかけに、翔太君は
「どんな夢見てるんか、自分で分からへんねんなぁ
…みたいな。」
はい??
「だけど、その夢を見たと思われる朝は
ほんまスッキリしいひんから、気になり始めてん。」
「そこで、凛ちゃんに、ちょっと行って
見て来てもらおうかと思って。」
…まぁ…見て来るくらいは…浩二君の友達やし。
「ちょっと前から浩二に話しててんけど、
全然凛ちゃんに言うてくれへんねんもん~。」
口をとがらせて、わざと拗ねて見せている。
…なんかこの人憎めないなぁ。
「行ってこよか?」
私は、ずっと困り顔で黙っている浩二君を見た。
いつもは、浩二君がノリノリのはずなのに…
呆れ顔で翔太君を見ている…。
「…全く内容が分からん夢の中に、凛を
一人で入らすのは、俺は嫌やねん…。」
えっ!!…今なんて!?
「危険な夢とかやったら…。」
それって…私の事…心配してくれてる…?
「じゃあ…また、一緒に…?」
緩みそうな顔を必死に抑えていた。