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夢繰り屋 凛 第五章

第4章 家庭の事情。


放課後、いつもの部室に…
彼、翔太君の姿があった…。

「やっ。凛ちゃん。」

いたずらっ子の様な笑顔と共に、
彼は軽く手を挙げた。

「凛。こいつな、俺の友達なんやけど…
 …あ~、やっぱなぁ~。」

珍しく浩二君が口ごもっている。

「…どしたん?なんか言いにくい事でもあるん?」

普段見た事のないような浩二君の姿…
そっちの方に興味が湧いていた。

「俺の夢を見て来て欲しいなぁって話なんやけどさぁ、
 な~んか知らんけど、浩二が渋りよんねん。」

そう言いながら、浩二君の肩に手を置いた。
…仲良しなんや…いいなぁ。
  
「…気になる夢でも見たの?」

私の問いかけに、翔太君は

「どんな夢見てるんか、自分で分からへんねんなぁ
 …みたいな。」

はい??

「だけど、その夢を見たと思われる朝は
 ほんまスッキリしいひんから、気になり始めてん。」

「そこで、凛ちゃんに、ちょっと行って
 見て来てもらおうかと思って。」

…まぁ…見て来るくらいは…浩二君の友達やし。

「ちょっと前から浩二に話しててんけど、
 全然凛ちゃんに言うてくれへんねんもん~。」

口をとがらせて、わざと拗ねて見せている。
…なんかこの人憎めないなぁ。

「行ってこよか?」

私は、ずっと困り顔で黙っている浩二君を見た。
いつもは、浩二君がノリノリのはずなのに…
呆れ顔で翔太君を見ている…。

「…全く内容が分からん夢の中に、凛を
 一人で入らすのは、俺は嫌やねん…。」

えっ!!…今なんて!?

「危険な夢とかやったら…。」

それって…私の事…心配してくれてる…?

「じゃあ…また、一緒に…?」

緩みそうな顔を必死に抑えていた。



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