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【ディズニー/ヘラクレス】Kore

第1章 救出




「君に与える罰は『感情を抑えないこと』。特に俺様の前では。」

「……え?」

「ペルセポネちゃんのことだから『泣いたら呆れられる…』『めんどくさいって思われる…』とか考えちゃってるんでしょ?俺様がそんな器の小さい神様だと思うかい??」

「(ブンブンっ)そんなこと思ってません!!」

「泣かせないって約束が君の足枷になってるなんて今まで全く気付かなかったから…ごめんね。」


泣かせないと約束され、反射的に『ハデス様の前で泣いてはいけない』と認知してしまいそれを25年間続けてきた。
いつも笑顔で地上に戻り、オリンポスの門をくぐった瞬間半年間会えない悲しみに泣き崩れる。
本当は冥界を出た瞬間に泣きたくなるのだが、ハデスが使い魔のコウモリやペインとパニックが密かに門まで見送るので気付いてないフリをしてずっと笑顔でいたのだ。

『ハデス様の前で絶対に泣いてはいけない』

そう勘違いし続けて。


「…じ、じゃあハデス様の前で……泣いてもいいんですか…?」

「もちろん。俺の為に泣いてくれるなんて、とても優しいコじゃないか。すっごく嬉しいよ。」

「っ…」


『優しい』『嬉しい』という言葉が脳内をかけ巡り、彼女の顔を熱くさせる。我慢出来ないという勢いと力でぎゅっとハデスに抱きつく。


「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」


思いっきり顔をうずめているので何を言っているのかわからないが、衣越しから伝わる湿り気で泣いていることはわかる。優しく腕をまわし、頭をゆっくり撫でる。
さっきより湿ってきたので嬉しいのだと判断し「思う存分泣いていいんだよ。」と耳元で追い打ちをかける。

落ち着くまでに何時間かかるだろうか?
そんな思いとは裏腹に、数分で泣きやんだ。
抱きついたままなので「ペルセポネちゃん?」と声をかけるが反応なし。

耳をすませるとくーくー寝息が聞こえた。
今まで溜めていたモノを全て吐き出したような穏やかな顔で眠っている。
ベッドに移動させようと彼女の腕を離そうとするが、一向に離す気配がない。
このままでも良いが、固い地面に座らせたままだといささか不安だ。


「…ペルセポネちゃん?腕を離してくれないと、ベッドへ連れていけないんだ。離してくれるかい?」


と耳元で囁いてみる。
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