第1章 救出
…手紙を書かなければ。
かわいくて愛しい妻ペルセポネちゃんに。
水面に上がろうとすれば死者がまとわりついてくる。自慢の炎で水を全て蒸発させることもできるが、冥界が死者で溢れてしまう。
部下の助けを待っているが全っ然助けに来ないな。
戻ったらお仕置きだ。
気分が悪い。
渦中は死者を逃さないように永遠と渦巻いているためハデスの様々な感覚、特に時間に関しての感覚が鈍くなっていた。死者の渦中に落とされて、もう何日経ったのかもわからない。
…そんな顔しないでくれ。君の笑顔が見たいんだ。
いや、笑顔を奪っているのは俺自身か。
約束したのに…もう泣かせないって。
ハデスの意識は体と共に沈んでいった。