第1章 救出
――――冥界
「ハァ…ハァ…ペイン、パニック!!」
舟を降り、急いで応接間に迎い部下である2人の名前を呼ぶ。バタバタ足音をたてながら応接間に入るペインとパニック。
「ペ、ペルセポネ様!?」
「なんで秋にもなってないのにこちらへ?」
「ゼウス様に許可を頂きました。ハデス様…ハデス様はどこに…」
「あぁーそれはー…」
「ヘラクレスに死者の渦中に落とされたんです!!」
「渦中に!?……なぜ助けないのですか?」
「(ギクッ!!)た、助けようとしましたとも!実は死者の魂どもがハデス様を奥底に引きずり込んで助けようにも助けられなかったんですハイ!!!!」
「そうですか…一週間もハデス様を渦中に放って…」
床がビキビキと割れ、太い蔓状の植物が生えてきた。
「「ギャ―――――――!!!!!!!!」」
植物は逃げようとする2人を即座に捕まえ、ギリギリと体に縛った。
「もがけばもがくほど縛り上げられます。例え虫に変身したとしても食虫植物が貴方達を見つけ、捕獲します。これは罰です。しばらくそこで反省しなさい。」
冥界で怒らせると1番怖いのはハデスではなく、ペルセポネだということをようやく思い出した2人であった。
―――――死者の渦中
崖に立って様々な植物を生み出し、腰に頑丈な蔓を巻き渦中へと飛び込んだ。まとわりついてくる死者の魂を振り払いながら奥へと泳ぎ進むペルセポネ。
飛び込んで数分経ちさらに奥底へ進もうとした時、黒い影を見つけた。気絶しているハデスだ。
急いでそばに寄り、ハデスを抱え蔓を引っ張り合図をすると、崖から生える蔓が逆再生するように地面に戻っていく。その勢いで水面まであがれた。この時の水面は崖と非常に近く、ハデスを崖に上げることができた。
水の吸収が早い大きな葉をたくさん敷き、そこにハデスを寝かせ膝枕をした。顔についている水滴を丁寧に拭き取り、より大きな葉をちぎり布団のようにかけた。息はしているが、まだ目を覚まさないハデスの胸に手を置きトン…トン…とゆっくり叩いた。