第2章 出会い
『痛めてしまう前に』…か。そのぐらい話したいことがあるのだろうか…少しだけの希望のはずがより鮮明に大きくなっていくのを感じた。
コレーは上掛けを床に敷いたのを確認するとホッとした表情を見せた。その際目が合いボッ!と顔を紅潮させ、すぐに目を逸らされてしまった。
「もも申し訳ございません!」
そんなウブな反応されるとこっちまで恥ずかしくなる…
「気にしないで大丈夫だから…///」
と良い意味でドキドキしながらハデスも紅潮する。
「ふぅ…あの水仙はハデス様が?」
「あぁ、そうだよ」
少し落ち着きを取り戻したコレーの問いに答える。
「わたくしが生み出した子ではなかったのでとても驚きました…」
「君の子達には及ばないよ」
「いえ、そんなつもりでは…!今まで見たことない美しさに思わず見惚れてしまって…ため息が出てしまう程です…」
「そんなに…?たしかにキミの為に作った水仙だけど…」
「わたくしのため!?」
思わず身を乗り出してしまうほど驚きを隠せずにいるコレー。まさか自分の為に作られたとは考えもしなかった。
でもなぜ…?
「なぜ…わたくしのために?」
「ゔっ…」
言いづらい………
一目惚れ拗らせて君を誘導する為に水仙を作ったなんて言いづらいが言い訳が思いつかないのも事実…少々ヤケクソ気味に、
「君に一目惚れしたからだよ…」
と真実を伝えた。
ぼすっ!という鈍い音の方を向くと顔を真っ赤にしたコレーがベッドに倒れていた。
「コレーちゃん!?」
息が荒く、なにか言葉を紡ごうと口は半開きのままわなわなと震えている。急かさないようにと、ハデスは辛抱強く待った。
「…デス様…?」
「なんだい?」
「…お言葉に…甘えて…このままでも…?」
「もちろん。」
吐息混じりの消え入りそうな声に耳を傾けしっかり返事をする。これが今ハデスに出来る最善だ。
「わたくしの…どこに……その…」
惚れたのか。コレーの気持ちを汲み取り、ハデスは続ける。
「それ言っちゃうともっと恥ずかしくならない?」
「…そう…なのですが、知りたいです…植物達を生み出すこと以外…わたくしに…これといった取り柄はないので…それが知れたら…わたくし自身の…励みに…なると思います」