第2章 出会い
「もちろんです!」
コレーの表情が一気に明るくなり、俺を先に部屋へ入れ静かにドアを閉めた。元々彼女の為に作った部屋なので少し窮屈だが、話すにはちょうどいい空間だった。
自分の身体よりも小さなベッドに腰掛け、隣に座るよう促すが、
「あっ…と、これじゃあ君が座るスペースがないじゃないか…」
と呟き、床に座る。
「えっ!?あのっいけません!わたくしが床に座ります!むしろその方が正しいのではないでしょうか!?」
「でもそうすると余計目線合わなくなるでしょ?首が痛くなっちゃうよ?いいの?」
「目線…?他の神々と比べてとても小柄なわたくしは仰ぎみるのが当たり前…
なのに雄偉たる貴方が床に、庸俗のわたくしがベッドに座って同じ目線でいることは許されるのでしょうか…それに…」
「それに?」
「………失礼を承知で申し上げます。恥ずかしいんです…」
全身を赤く染め上げ立ったままぷるぷると震えるコレー。
「その…こういった場所で殿方とお話しすることに慣れていなくて…申し訳ございません…」
とても言いづらそうに時々目線を逸らしながら主張する。位に関係なく気を遣ったハデスの言葉を彼女なりに消化しての発言だろう。初々しい姿と言動に心をくすぐられ、つい頬が緩んでしまった。
「フッ…w」
「やはりお気に障りましたか…?」
「いやいや、失礼だとか思ってないからそこは安心してほしい。それに恥ずかしいなら目を合わせなくてもいいしベッドで寝ながら話してもいいよ?」
「え…?」
疑問がふつふつと湧く。今まで関わったことのない神に対して、そこまで名も知れてない神に対してなぜここまでしてくださるのでしょう。わからない…であれば、
「失礼します」
ギッ…とベッドが軋む音と共に腰を掛ける。
「ハデス様、痛めてしまう前にこちらだけでも…」
と上掛けを差し出した。