第2章 出会い
―――現在
「あのっ………まだ…そこにいますか…?」
「い、いるよ?!」
突然のことに驚愕し声が上擦ってしまった。
「まずは…その………おしゃべりしませんか?
わたくしはもっと…ハデス様のことを知りたいです」
俺様のことを『もっと』知りたいって言ったか?
…いや、他の奴らから陰湿だの性悪だの色々吹き込まれてるだろう。希望を抱くのはやめよう…。
「…植物達や他の神々に聞いても口を揃えてネガティブなことしか聞かなかったので、身内であるゼウス様から少々…」
げっ、ゼウスから…あいつどんなこと吹き込んだんだ…?
「貧乏クジをひいたのに1人で真面目に仕事をこなしてると伺っております。地上が死者で溢れないのはハデス様のおかげです。地上に住む者達に平穏をもたらしてくださって、本当にありがとうございます。」
ドアを開け、深々とお辞儀をするコレー。
「……だ。」
「え…?」
「そんなこと言われたの、初めてだ。」
怖い思いをしただろうに、なぜこうも自分にとって耳障りの良い言葉をかけてくれるのか。
…少しだけ希望を持っていいのなら、彼女のことをもっと知りたい。
「…立ち話もなんだろうし、入ってもいいかな?」