第2章 出会い
「ゼウス様、ハデス様について聞きたいことがありまして…」
「ハデスだと?急にどうしたんだコレー」
「私が生まれてからまだ一度も会ったことがありませんし、他の神々に聞いても分からなくて…弟君のゼウス様に聞く方が早いと思ったからです。」
眉を八の字にし、立派な顎髭に手を当てながらしばらく黙り込む。
「う〜む…では話すとするか。」
雲の椅子を作り出しどっしりと座るゼウス。
コレーにも座るように促し複雑な表情で話し出した。
「昔タイタン族が大暴れしてな、それを我ら三兄弟、わしとポセイドン、そしてハデスが食い止めたんだ。」
「あのカオスをも焼き払うほどの大戦ですね!お母様から聞いております!」
「わしがタイタン族を封印した後、支配地をめぐってくじ引きを行いそれぞれの場所が決まった。」
「くじ引きで…なるほど」
「ハデスは冥界の主となったが為にオリンポス十二神から除外されている。」
「だからお会いできないんですね…」
「そんなに奴のことが気になるのか?」
思わず身を乗り出し神妙な面立ちで訊ねる。
「植物達から聞いたのですが、その…皆さん酷く嫌っている様子なので…家族のゼウス様に聞けば何かわかると思ったのです。」
「…皆冥界の仕事をやりたがらないのだ。奴には貧乏クジをひかせてしまったのう…それでも1人で真面目にこなしておるぞ!」
「1人で!?さぞお忙しいことでしょう…根を詰め過ぎてないといいのですが…」
まるで自分のことのようにハデスのことを心配するコレー。
その様子を見てゼウスは1つ提案する。
「コレーよ。ハデスの妻にならんか?」
ぶぉん!!!!と蒸気が吹き出すぐらい顔を真っ赤にし慌てて返答する。
「えっ!?!?!?そそそそそそんなまだ会ったこともないし顔すら知らない殿方のつっ妻になるなんてわたくしにはまだっ」
「はっはっはっ!そう焦らんでもいい!わしからの提案だからと言って必ずしも結婚しろというわけではないからな!」
「ゼウス様…提案の度が過ぎますわ…」