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裏『探偵』αな女がΩの男達に求愛される話。

第14章 運命の番(過去編)1.5


「そのままトントン拍子に話しが進み、桜花グループのご令嬢というのは伏せて一般生徒として入学したんです。勿論帝丹高校に近いということもあって高層マンションに一人暮らしをしていましたが…私自身があと少しの学生の間だけは普通の女としての生活がしたかったんですよね。まぁ…爆発物騒ぎもあって両親に酷く心配されまして、結局こんなセキュリティのある虫一匹入ることすら許されないような高層マンションに引っ越しさせられたんです」
「ふーん、なるほどな…」
「春枝ちゃんとの距離感が分からなくなって来た…」

申し訳なくて、謝る俺に大丈夫だと笑いつつ…慣れているとも言われてそれはそれでどうなんだろうかと少しばかり悲しくもなった。渋る俺達を見て、優しいですねと笑う彼女を必ず幸せにしたいとも思った。

ーーー。

春枝ちゃんに連れられて、一室へと入って行く。 広々とした部屋から見渡せるのはビルの明かりと、近くで東都タワーが見えた。リビングの奥にはグランドピアノがひっそりと置いてある、音楽も嗜むのかと春枝ちゃんを見れば少し照れたように俺達を見上げている。

「うわぁ…ひろっ、たっか!眺めいいねー…」
「こんなところで一人暮らしっつーと寂しくねぇのか?」
「そうですね…確かに寂しいかも知れません。あ、あのっ…研二さん、陣平さん!だから、あの…ですね。その…暇な時とか、気軽に遊びに来てくれると…嬉しいです」

あぁ…うん。この子は天使だったんだな。そう拝みそうになり顔がドロドロになるくらいに崩壊した。俺の新妻がこんなにも尊い…そう膝から崩れてしまいそうになり顔をおおい天井を見上げた。というか、そんなの当たり前だろう!そう彼女の顔を見れば目を丸くして少したじろぐ春枝ちゃんがいる。

「当たり前でしょうが!なんなら毎日通うよ!」
「萩原が通うなら俺はここに住む」
「あ、ずりぃ!だったら俺も住みたいっ!」

そう伝えれば少し呆れ気味に、けれど微笑ましげに笑う春枝ちゃんが可愛くてまた抱き締めたくなったがなんとか耐えた。学校鞄を手に取った彼女は普段着に着替えて来るから、ゆっくりして下さいとリビングを出て行く。ソファーに腰掛けた俺達がやはり見てしまうのはグランドピアノだった。

「なぁ、松田…見て見たいと思わない?」
「奇遇だな。俺もそう思ってたんだ」
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