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裏『探偵』αな女がΩの男達に求愛される話。

第21章 運命の番(過去編)0


食事をすませた青少年に向かって、今日はゆっくりお風呂へ浸かって寝てしまいなさい。心配しなくていい。私や娘…私の妻に危害を加えないなら君を大切な友人として丁重に招き入れるつもりだから。そう頷き微笑む。浴室へ案内し、使用人へ寝室のベッドメイキングとお願いする。手料理の感謝…美味しかった、いつもありがとう。と伝え平らげた皿を調理室へ置きに行く。すると使用人はあわあわと驚いた様子で「旦那様はそんなことをなさらなくていいんですよ!」と言われてしまった。

ーーー。

浴室から彼が出るのを自分の寝室で待っていた、明日もまた仕事がある。しかし彼を置いて自分が先に休むというのはどうも気が引けた。その時カランと氷の音と、ふわりと香るタバコの匂い。そしてサラリと靡く銀髪の青少年がいた。

「…いつも私を見守ってくれてありがとう。陣くん」
「あんたを護るのが俺の務めだからな…」
「はは、務めか…それより、酒やタバコはまだ君自身が未成年だから駄目だよ?」
「チッ…バレたか。やはりあんたを騙すのは無理があった見てぇだな」
「体に悪いからオススメしないよ…だって陣くんは私の大切な人の一人なんだからね?」

入っておいで。と手招きし微笑みつつ銀トレイを手に持つ陣くんを招き入れる、嬉しいことに私が好きなウィスキーを彼が覚えていてくれていて、それを持って来てくれたようだった。グラスへと氷を入れ、ウィスキーをそそいで手渡してくれる。私はそれを受け取り酒を煽った。

「それにしても…陣くんは私が好きだねぇ」
「あ゙?」
「いや、私が吸うタバコの匂いがする…」
「!、ちげぇ!た、たまたまだ…」
「ふふ…私からすれば嬉しいよ?」

なんなら、私が愛用する香水の匂いも教えて差し上げようか?と茶目っ気のように伝えてしまおうかと思ったが、これ以上彼の機嫌を損ない傷付けてしまうのも可哀想かと思い口を閉ざした。

「さて陣くん…単刀直入に聞くが、君の洞察力からして彼はカタギやマフィアの人間かい?」
「あぁ、あの身のこなしといい…警戒心やタフな所を見てもそうだろう。スコープ越しから春枝お嬢を見守って来たが…あいつは俺が今潜入している組織の人間だろうぜ」
「やはりそうか…」
「あんた、まさかとは思うが…」
「引き抜く。手負いの狂犬を野放しにするのはね…といっても私には既に番犬が目の前にいたりするからいらないが」
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