第14章 運命の番(過去編)1.5
目を見開いて、うっとりと目を閉じる。舌が絡まり気持ちよくて飲み干した時には彼女の舌を感じていた。もっと…欲しい。そう逃げようとする彼女の舌を必死に追い掛けて逃がさないよう捕らえる。ぐいっと両肩を押されてしまい「落ち着いて下さい」と伝えられた。
「もっと…」
「いやいや、お兄さん!爆発物は!?」
「ばくはつ…おれは、きみがほしい…」
「おい、警察官。私死にたくないからそこは欲望より理性のほうが勝ってよ。家がなくなるのも困るんだけど…分かった。爆発物を解除出来たら話をしよう?それじゃあ駄目?」
しっかり見つめ返されて、真剣な顔で説明される。直ぐに効いて来る薬だったからか俺自身も落ち着いて来た。待っていて欲しいと彼女に伝えて部屋を出て行く。体は酷く怠くてしんどいけれど…なんとか爆発物のある場所へ向かい、急いで手を動かした。
ーーー。
「俺っ!君の番になりたいんだっ!」
「命を蔑ろにする方とは番にはなれません。どうかお引き取りを」
グサッと心臓に刃物のようなものを刺されたような気分だった。なんで防護服を着ていないのだというような冷たい視線を向けられる。その時、松田が現れて一般人の未成年になに告白してんだと頭を叩かれてド突かれた。ショックと痛みで蹲る俺を雑に扱うように首根っこを掴み、そのまま引きづる松田を恨めしく思いつつ明日になったら必ず彼女にもう一度告白しようと心に決めた。
ーーー。
次の日、彼女に会いたくて仕事終わりに彼女の家へと向かっていた。好きだと伝えたくて…番になりたくて…気持ち悪いと、ストーカーだと言われるかも知れないのに本能が抗えない。まだ帰って来ておらず、早く会いたいと玄関前のドアに座り込み願った。
ーーー。
夜遅く家へと帰って来た彼女を見た瞬間…感情が溢れ出た。あぁ、あぁ、あぁっ!漸く出逢えた!涙が零れ落ちる。嬉しいっ!最初彼女になにを伝えようかと唇が震えた。
「君の番になりたい…俺自身、年下の未成年相手に馬鹿なことを言ってるってちゃんと理解している!でも…君じゃないと駄目なんだっ!」
「……話は中でしませんか?ここだと一目についてしまいますし」
落ち着かせるような笑みを見せて、彼女はどうぞといい部屋へと招き入れる。αの匂いに満ちた、落ち着いた雰囲気のある一室でΩの匂いを溢れさせてしまう。玄関が閉まる瞬間、俺は彼女を押し倒してしまった。