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裏『探偵』αな女がΩの男達に求愛される話。

第13章 運命の番(4)…萩原研二>>2


「逃げるより、投げたほうが早いです!」
「はぁっ!?えっ、ちょっ!待ってぇええ!?」

振動で爆発する可能性もあるというのに、女子高生は躊躇なくそれを掴むとガラス窓へと投げた。ガシャンとガラスが割れ、破片と一緒に爆発物が空へと舞う。するとドンッ!と空中で激しい爆発音と共に破裂した。

「結構派手に爆発しましたね…」
「そうだね…じゃなくてっ!危ないだろ!なに考えてるんだ!」
「だってこれが一番最善の策だったので…防護服を着た皆さんを逃がすのは無理ですし、お兄さんは薄着ですから…即死でしたよ?」
「っ…」

ひゅっ…と息を呑み、情けなく尻餅をついていた俺に向かって、屈みながらそっと手を差し伸べられる。にっこりと笑いかけてくれた美少女は口を開いた。

「皆さん生きて怪我もない。終わりよければすべてよし…ですよ?」
「むちゃくちゃだな…」

キラキラと眩しいものが彼女に見えた。これがαのフェロモンというのか…神々しくて目がチカチカする。そんなことは言わなかったが呆れたように笑う俺は彼女の手を握り締めて立ち上がる。手を離すことなく、握ったままの女子高生は優しく包み込むように両手を添えて来た。

「お兄さんは人を救うことの出来る手です。こんなところで死んじゃ駄目ですよ…」
「っっ…」
「生きていて良かった…」

ぽつりと呟いた彼女の言葉がじんじんと胸を痛める。俺はこの小さく白い手に守られたのだ、一般人を巻き込むことになってしまって申し訳なさがあるというのに…この子に出会えて、良かったと思えた。なにより…俺はこの子の番になりたいと、本能が訴えている。

「俺、萩原研二っていうんだ…君は?」
「桜花春枝です」

ーーー。

懐かしい夢を見た。隣で眠っているのはあの頃から随分大人の女性になった春枝の姿だ。するりと頬にかかる横髪を指先で撫でながら耳の後ろへそっとかける、するともぞもぞと動き、ゆっくりと目を開いた春枝がいた。

「どう、しました…研二さん…」
「ごめん、起こしちゃった?」
「いいえ、大丈夫ですよ…?」

ふわりと微笑む春枝はスリスリと俺の首筋へ軽くキスをして甘えて来る。華奢な体だというのに、けしからんたわわな胸へとついつい目がいってしまうのは不可抗力だと言い聞かせた。あぁ…くそ。駄目だと思っていても可愛くてムラムラする。
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