第9章 運命の番(過去編)4
初めて素の春枝に近付けた気がした。泣き顔を見せたくはないと嫌がる姿も、恥ずかしそうに目を腫らして笑う姿も…愛おしさが込み上げて可愛いし好きだと感じた。生きていてくれてありがとう…その言葉にどれだけ救われたかあいつは知らないだろう。春枝と生きていきたい、春枝と幸せになりたい、春枝の花嫁姿を隣で見るまで死んでたまるかと思えるくらいの大切で大事な俺の運命。
「そういや、春枝が酔うと性格が変わるのって知っているか?」
陣平は成人した時の春枝の姿を思い出す。すると景光や零は目を輝かせた。
「まじか、凄く見たい」
「今日はほろ酔いな感じだったな…」
「あぁー…あれは可愛いものだよ。もっとべろんべろんに酔うと正反対になるし」
「正反対?」
「脱ぎ癖とドSな感じになる、後は俺達に対して君付けでタメ口、甘えて来るところとか…」
「αのフェロモンただ漏れで誘って来た時は心臓に悪かったよなー…キス魔だし、エッチだし、絶倫だし」
「暑い、脱ぐ」から始まり…うっそりと微笑みつつ、αのフェロモンを出しながら「キスしよ、ね?」とキス魔のようにキスをされ「陣平くん、研二くん。私にたくさん気持ちいいこと…教えて?」なんて誘われたら…据え膳食わぬは男の恥というものだ。あれよあれよと教えるうちに最初は戸惑って恥ずかしがっていたけれど、優秀といったらいいのか、いつの間にか立場は逆転し喘がされて逝かされて、それなのに絶倫体質なのか「もっと…泣き顔見せて?ふふ、可愛い…奥ズブズブされるの気持ちいいんだ」なんて色っぽく笑って攻め立てられる。乱れて意識が飛びそうになるのを起こされて、また激しく逝かされてと春枝自身が満足するまで大変だった。
「今直ぐ春枝を酔わせたい」
「体がもたねぇよ…謝っても止めて貰えねぇしな」
春枝の意地悪であり、獣のように犯される快感は思い出す度にじわじわ体が感じてしまいそうになる。零は羨ましそうな視線を二人に見せて、今度バーボンでも勧めて見ようかと考えた。
「話しが脱線したけど、要は春枝が俺達を頼ることが大事なんだよな」
「あぁ、そういうことになるな」
「……依存させるか」
景光は少し考える素振りを見せて、零に問う。そして独り言のようにいったが、この場にいる全員が凍り付いた。