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裏『探偵』αな女がΩの男達に求愛される話。

第9章 運命の番(過去編)4


「んんっ…」
「ちょっ、春枝が起きるから静かにしろよ…」

景光の声でまた静かになる…が春枝はその物音でゆっくり目を開く。そしてふわりと花が咲いたように微笑み、ぽつりと呟く。

「景光くん…少しは眠れた…?」
「えっ…あっ…あぁ、良く眠れたよ」
「そう、良かった…」
「?、春枝…まだ眠いか?」

景光は春枝の言葉に相槌をうちながら視聴する。うとうとと目をゆったり瞬きさせた春枝は穏やかな表情で景光から視線を外して陣平、研二、零と見上げていた。

「陣平くんと、研二くんがいる…」
「あぁ、アンタに会いたくて遊びに来た…」
「ごめんね?五月蝿かったかな?」
「ううん…大丈夫…来てくれて嬉しいから、ありがとう。お帰りなさい、お仕事お疲れ様…」

俺の番にバブみを感じてギュンギュンする、そう二人は胸元を押さえて顔を手で覆っていた。春枝のバブみ無双はとどまることを知らない、優しく零においでと手招きする。戸惑いながらも近付いた零に向かって胸元へ顔を押し付けるように抱き締めた。照れたように嫌がる素振りを見せる零に、そっと頭を撫で続ければ抵抗もなくなった。

「零くん…どうしたの、なにかあった?」
「どうして、分かるんだ」
「零くんとは長い付き合いだから分かるよ…大丈夫。私が君の傍にいるし、絶対零くんのこと守るから…」

大丈夫、大丈夫…そう蜂蜜色の髪を撫でた。その母性愛に満ちた笑みに、じわじわと顔を赤くして撃沈するように胸元に顔を埋めてしまう零を見下ろして、景光は独り言を言い納得するように頷いた。

「流石はバブみEX…」

ーーー。

また零の頭を撫でながら寝てしまった春枝に違和感が芽生えた。眠かったからという理由で、普段敬語の春枝がタメ口であり全員に対して君付けだったことだ。寝室で騒がしくするのもどうかと考え、リビングへまた戻って来た四人はソファーへと腰掛けた。

「春枝の君付けは正直クるものがあったな」
「タメ口ってところもまた距離が近くなる感じが新鮮で可愛かった…」

陣平と研二ははぁ…と満足げに吐息を漏らす。すると零は少し寂しげに目を伏せた。

「だが成人してから雰囲気が変わったのも事実だ…昔は喜怒哀楽がはっきりしていた性格だった、本当にもっと番である俺達を頼ってくれてもいいのにな」
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