第9章 運命の番(過去編)4
あっ、やっべ…これゼロにいうと、かなり不味かったりするよな。そう景光は半笑いするが零はジト目で睨むため、話しを変えようとコーヒーを入れ始めた。
ーーー。
「ふぅ…あのさ、なんで松田と萩原がいるんだ?」
「あぁ、俺が呼んだ」
「いや、煽って喧嘩売って来たの間違いだろ?」
「そうそう、仕事終わりに春枝ちゃんに直接会って癒して貰おうかと思ったら、久しぶりに降谷から携帯にメッセージが送られて来て[新妻と昼寝中…]で、三人仲良く寝てる写真とか酷くね?」
「後、ドレス姿とか貴重だったから生で見たかった」
メッセージアプリにて、零は陣平、研二に煽るよう春枝のドレス姿と寝顔を撮影し送っていた。悔しそうにギリギリする二人へ自慢するように見せている。寝室へ向かうドアをチラリと陣平は見た、そしてすっと立ち上がる。
「春枝、今まだ寝てんのか…」
「松田、寝込みを襲うのは止めてやれ」
「襲わない、襲わない、見るだけだよ」
「萩原の目がまじだ、落ち着け二人とも」
零と景光は陣平と研二を押さえて落ち着かせる。見てもいいが犯罪級の可愛らしさだから絶対に襲わないということと、なにより静かにしないと眠っている春枝を起こしてしまう可能性があるから、必ず音を殺して寝室へ入れという条件付きで妙なミッションが今開始された。
ーーー。
「うわぁ…春枝ちゃんの寝顔可愛いぃっっ」
「春枝と寝たことはあるが、寝顔は見せてくれなかったからな…」
「そうそう…春枝ちゃんが成人した次の日だったっけ。朝から起きた俺達に向かって、体は大丈夫だったかとか、しんどくないとか優しく問い掛けて頭を撫でられた時は、もう男前過ぎて惚れ直すしなにより恥ずかしかったなー…」
「えっ?なにそれ聞いてないんだけど…」
「言ってないしな。まさかまだ抱かれてなかったりするのか?」
「……春枝起きろ。そして今すぐ俺を抱けっ」
「おい、降谷を止めろ…起こさないって言ったのはどこのどいつだっ」
忙しくて余り春枝の家に来れない零は未だ、春枝に抱かれていなかったりする。番としては噛んでは貰えたが、ヒート時の時でも鉄壁の理性で春枝に近付かなかった零は完全に逃してしまっていた。困らせるという理由で配慮して来たが聞き捨てならないと見下ろした。