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裏『探偵』αな女がΩの男達に求愛される話。

第9章 運命の番(過去編)4


「ねぇ、ベル…単刀直入に聞きたいの。私の両親はなにか危ないことに手を染めていたり…していないわよね?」
「あら…久しぶりの再会に、随分物騒なことを尋ねるのね?私の可愛いミューズは…」

ーーー。

ドレス姿の彼女、ベルは美しいブルネットの髪をまとめ上げており、作り物めいた水色の瞳はうっそりと笑う。どくりどくりと嫌な心臓の音がやけに大きく聞こえた。目を逸らすことすら許されない、ベルは私に近付いて顎を持ち上げる。私の唇に白く細い親指を添えて撫でる。私はニヤリと微笑み、がぶりと彼女の親指を軽く噛んで見た、目を丸くするベルは呆気に取られた顔をしてまた直ぐに機嫌良く口を開いた。

「ふふ、全く。生意気な子猫ちゃんだこと…」
「その生意気な子猫を甘やかしてずっと育ててくれたのは誰でなく先生でしょう…?」

するりと噛む唇を離せば、ベルは官能的に噛まれた親指をぺろり舐め上げた。さて…ベルはどこまで私に正体を明かしてくれるだろうか。そう呑まれそうになるαのフェロモンをじっと見上げて愉しげに笑った。

ーーー。

私の能力を最大限に引き出してくれたのは、他ではなくベルのおかげだったりする。生まれた時からベルは私の第二の母だった、母とは親友…どこまでが本当で、どこまでが嘘なのかが分からないが彼女は私になんでも教えてくれた。バイクの乗り方から、ハッキングなどのネットワーク関係…後は女性を磨きαのコントロールだったりする。

「春枝。貴女のαはかなり濃いわ…けれどコントロール出来なくてはΩにだって襲われる可能性が十分にあるの。だから今日から私が貴女の先生よ、全てを教えるからその通りに頑張りなさい」
「分かった、ありがとうベル…今日から宜しくね?」

それから彼女の教えで、護身術などを身に付けた。理性を落ち着かせて余裕のある女を演じることに専念する。私はとても喜怒哀楽が激しかったりするから、いつもそこをベルに指摘された。落ち着きのある女を演じないとαのフェロモンを溢れさせてしまい、面倒なストーカーなどに目を付けられる可能性もあるからだと言われた。

といっても私だって人の子だ。ストレスのメーターが振り切れば大泣きもするし大笑いだってする。現に昨日陣平さんや研二さんが死ぬかも知れないと思うとSAN値ピンチで、今も大好きなベルに向かって生意気な口を叩くというのは正直しんどかったりした。
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