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裏『探偵』αな女がΩの男達に求愛される話。

第7章 運命の番(過去編)2


けれど直ぐに私の顔を確認して、目を丸くさせた。なんで、どうして…と私を見る零さんに軽く頭を下げて部屋へと案内する。

「立ち話もなんですから、リビングへどうぞ」
「どうして、君が…」
「最初に言っておきますけど、私はただの一般人のαですよ…」

廊下を歩き、リビングへ向かえば景光さんは紅茶の茶葉を片手にティーポットにお湯を注いでいた。すっきりとしたいい匂いが部屋を包み込む、零さんはギョッとしており苦々しい顔を浮かべた。

「心配して損した気分だ」
「いや…春枝がいなければ俺は殺されていたか自殺していた。大型バイクを乗りこなして階段を駆け上がって来た時は死んだかと思ったけどな…」
「車だと流石に階段を登れませんから、かといって走って逃げるというのは直ぐに捕まってしまいます…ヘリコプターを呼んでも良かったんですけど、いかんせん時間がかかりますし足がついてしまいますから…」

二人からの視線がヒシヒシと伝わって来る。零さんは私が桜花グループの娘というのを説明していたが、景光さんは知らなかったのだろうか…もしくは零さんは伝えられていなかったようだ。そういえば零さんとは警察学校でも親しい関係でいたけれど…景光さんは避けられていたから仕方ないとしても、研二さんや陣平さんに会うことはなかった。本当になにもなかった、彼の話しにすら出て来なかった。考えると不思議である。まぁ…そのことは後々聞くとして先ずは。

「お茶、紅茶、珈琲…どれが飲みたいです?」
「はっ…?」

ーーー。

「私は昔、景光さんに助けられまして…その時の恩返しとして切羽詰まっていた彼を攫いました。まさかNOCバレして逃げていたとは…」
「景光、無関係の彼女に話すのはどうかと思うぞ…」
「誘導尋問が上手かったんだよ…春枝は結構刑事に向いているかも知れないな」
「関心している場合じゃないだろう」

呆れたように景光さんがいれた珈琲を口にする零さんは、私の方を向いた。そして深々と頭を下げる。助けてくれてありがとう、感謝してもしきれない。そう真っ直ぐな信念のある瞳で見つめられた。その目が好きだ、今でもまだ…大好きだった。

「零さんの馬鹿…私の番になると仰ったのに、いなくなって連絡すら取れなくなって」
「!っ、すまない…」
「もう逃がしません。景光さんも零さんも私の番です…私が幸せにします」
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