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裏『探偵』αな女がΩの男達に求愛される話。

第7章 運命の番(過去編)2


それからでも遅くはないはずだ、もしも警察側に組織の人間が紛れ込んでいたとしたら…未だ生きているとされる景光さんが危険に及ぶ。まぁ景光さんの携帯から逆探知するのは無理だろう…セキュリティの強い高層ビルからは電波妨害が激しく簡単に特定することも難しかったりするからだ。

「さてと…零さんが来るまでのんびりしていましょうか。お茶、紅茶、珈琲…ジュースもありますけど、どれが宜しいです?」
「あ…いや…」
「ふふ…ごめんなさい。意地悪を言ってしまいましたね?公安の人だから人が作った食べ物や飲み物は口にしない決まりでもあるんでしたっけ?」

三人分のティーセットを収納棚から取り出す。お茶の場合は急須と湯呑みだろうか…そう後ろを振り返り別の戸棚から紅茶の缶や珈琲の瓶、お茶の葉を見せて笑った。

「なんでしたら景光さんが作ってくれます?」
「俺がか…?作るのは構わないが、上手く作れるかどうかは分からないぞ?」
「私のいれた飲み物が全て駄目なら、景光さんが作ってくれると嬉しいです…もしも入れ方が分からないなら説明しますね?」

あと、私はストレートティーが飲みたいので茶葉はダージリンにしようと手を伸ばした。お好きな茶葉や珈琲豆をどうぞと手招きして見せる、その沢山ある種類に圧倒されておりいくつかの瓶を手に取っていた。

「お酒のほうが良かったです?例えば…スコッチとか?」
「春枝…」
「ふふ…ごめんなさい。あぁ…その珈琲豆はエメラルドマウンテン、そちらはキリマンジャロですね?」

甘い香りとコクに、酸味と甘味がうまく調和したのがエメラルドマウンテン。酸味と苦味がバランス良く調和し、甘いコクと上品な香りに優れたのがキリマンジャロ。他の豆も説明するとどれを飲もうか迷ってしまったようで苦笑いで頬を軽くかいていた。

「甘みが強いのは…これですね」
「ドミニカ カリビアン クイーン…」
「甘みを感じさせる苦味と豊かなコクはブルマンに劣らない上質な風味を醸し出します…」
「それじゃあそれにするかな」
「はい、では先ずーー…」

ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポンと何度もチャイムを鳴らし最後にはドンドン、ドンドンとドアを叩く激しい音を聞く。丁度良かった、折角だから零さんにもゆっくり寛いで貰おうと玄関まで歩いて行く。ロックを解除しドアを開ければ、睨むように私を見下ろした零さんがいた。
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